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ポール・クルーグマン「政策担当者は正しいことをしたか」(2017年9月22日)

Paul Krugman, Did policymakers get it right? (Video VOX, 22 September 2017)

政策担当者はどの部分で正しい政策を取ったか?この動画では、ポール・クルーグマンが中央銀行は正しい政策を取ったが、間違ったタイミングで緊縮政策が行われたと説明。この動画は2017年9月22日に開催された「金融危機から10年」と題されたカンファレンスで録画されたものです。1    [Read more…]

  1. 訳注:本訳はクルーグマンが実際に話しているものをもとにしており、動画の英語字幕とは必ずしも一致しません。 []

世界銀行eMBeDチーム「誰もが誤りを犯す:2017年ノーベル経済学賞を開発事業に生かす」

eMBeD “Everyone misbehaves: Putting the 2017 Economics Nobel Prize to work for developmentblogs.worldbank.org, 10 october, 2017


2017年のノーベル経済学賞がリチャード・セイラーの経済理論への心理学の導入という革新的業績に対して授与されたというニュースは,シカゴ大教授であるセイラーや「実践 行動経済学 健康,富,幸福への聡明な選択(原題:Nudge)」の共著者にとっての勝利に留まらず,行動経済学の知見を用いた世界中の政策にとっての勝利でもある。

ダニエル・カーネマンの(アモス・トベルスキーとの)判断と意思決定に関する研究は,彼に2002年のノーベル賞をもたらした。2002年のノーベル賞が行動経済学に対するもの,あるいは経済理論および研究における心理学の利用に対するものであるとするならば,今年2017年の賞は行動公共政策に対するものと言えるかもしれない。セイラーの主要な研究はトベルスキーとカーネマンの研究の拡張だが,特筆すべきことはこの研究を政策決定にまで拡張したことだ。セイラーのおかげで,行動経済学はすべての人々にとって便利なものになった。とある人が書いたように,「今や我々はみな行動経済学者だ。」 [Read more…]

アレックス・タバロック 「行動経済学の知見が巧みに表現されている歌詞と言えば?」(2010年2月25日)

●Alex Tabarrok, “Behavioral Economics in Song”(Marginal Revolution, February 25, 2010)


リアム・デラネイ(Liam Delaney)ザ・フレーミング・リップス(The Flaming Lips)の『The Yeah Yeah Yeah Song』を「『行動経済学ソングの殿堂』の中でも名誉ある地位を占める一曲」に推している。その理由は、「自分がやりたいことを曲げずにやる。それってとっても危険なことなんだ。だって自分自身のことなんてわかりっこないんだから」(it is a very dangerous thing to do exactly what you want because you cannot know yourself;歌詞の一部)ということを思い出させてくれているからだという。

私としてはクリス・スミザー(Chris Smither)の『Hey, Hey, Hey』をライバルとして擁立したいところだ。歌詞の一部はこんな感じだ。

君はすぐにも僕に向かってこう尋ねるだろうね。私の人生はどうしてそこまで幸せじゃないの? どうして私の要求は満たされないままなの?って。「私の要求」とやらについて語る君。まるでそれ(自分の要求、自分が欲していること)が何なのかすっかりお見通しだとでもいわんばかりに。でもね、君の要求の中身を本気で知ろうとするのは星に向かって旅するみたいものなんだよ。それって物凄く時間がかかることなんだ。答えがわかる前に君は死んでしまうことだろうね。だから僕は君にこう答えるんだよ。ヘイヘイヘイって。

(Pretty soon you’re gonna ask me, How come the life you lead, Doesn’t make you very happy, Or satisfy your needs, You talk about your needs as though You know just what they are, When in fact to really know them, Is like traveling to a star, It takes so long you die along the way, So I say hey, hey, hey.)

私がかつて書いた論文の一つ――たいしたインパクトは持たなかったが――では「選好の発見」(自分の好みを探り当てる)という営為がいかにして経済学上の様々な概念に修正を迫る可能性があるかを考察しているが、その論文を書くにあたって感化を与えてくれたのが上で引用したばかりの歌詞なのだ。

他に何かお薦めの曲はないだろうか?

アレックス・タバロック「オンライン・デートで人種間の結婚は増えたか?」

[Alex Tabarrok, “Does Online Dating Increase Racial Intermarriages?” Marginal Revolution, October 11, 2017]

今日,新たに結婚する人たちのだいたい3分の1は,オンラインで出会ったカップルだ.オンライン・デートには,おもしろい特徴がある――まるっきり見ず知らずの人とマッチングされやすいんだ.これに比べて,たとえば友人からの紹介で引き合わされたり教会で知り合ったり地元のバーで出会ったりといった他のマッチング手法だと,すでになんらかのネットワーク内でつながりのある相手とマッチングされやすい.このため,オンライン・デートが盛んになってきたことで,いろんなネットワークで人々がお互いに結びつけられる方法が大幅に変わっている見込みが大きい.Ortega と Hergovich は,単純なモデルを考案している:

本稿では,ゲール=シャプリー結婚問題を考察する.この状況設定では,エージェントたちが属す人種や地域社会がさまざまに異なっている場合がある.あらゆる人種のあらゆるエージェントたちが無作為に同じユニット・スクエアに配される.エージェントたちは,じぶんにいちばん近い人物と結婚したがるのだが,結婚できる相手はじぶんが知っている相手にかぎられる.つまり,つながりのある相手としか結婚できない.実生活と同じく,エージェントたちは同じ人種のエージェントたちと非常につながりが強い一方で,他人種とはつながりがとぼしい.

理論と無作為シミュレーションを駆使して著者2人が見出したのは,オンライン・デートによって人種間の結婚が急速に増加するということだ.こういう結果になるのは,たんに,オンラインだと人種のちがう相手とマッチングされる場合があるからだけではない.ひとたび〔人種がちがう男女の〕カップルが一組結婚すると,新郎新婦それぞれの友人たちが伝統的な手法でマッチングされて結婚する確率が高まるからでもある.弱いつながりの強さとは,それまでかけはなれていたネットワークどうしをもっとつなげるのに必要な弱いつながりはそんなむちゃくちゃ多くないという点だ.

白人・黒人・ヒスパニック系・アジア系・アメリカンインディアンや混血の人どうしの結婚を含むものとして定義される人種間結婚は,遅くとも1960年代には増え始めていたけれど,著者たちは下記のグラフを使ってこう主張している――オンライン・デートの登場と普及にともなって伸び率が増加した.2009年の Tinder 登場以後に人種間結婚が大幅に増えてる点に注目!
(これが複合的な影響によるものではない説得力ある論証を著者たちは展開している.)

オンライン・デートによって結婚相手候補の人数が増えるため,オンライン・デートのないモデルでの相手候補たちよりも選好空間で平均的に「もっと近しい」人どうしでの結婚につながる.このため,彼らのモデルでは,オンライン・デートは離婚率を下げるはずだと予想される.この仮説を裏付ける証拠もいくらかある:

Cacioppo et al. (2013) によれば,オンラインで成立した結婚だと夫婦が離婚しにくく,結婚生活への満足度も高くなりやすい.彼らが用いたのは,2005年から2012年までに結婚したアメリカ人 19,131名の標本だ.著者らによると:「オンラインで結婚相手に出会った場合,平均でみると,伝統的な(オフラインの)結婚事例に比べて,結婚生活への満足度がわずかながら高くなる一方で離婚にいたる率は低くなっている.

このモデルは,他のいろんな潜在的ネットワークにも当てはまる.

感謝: MIT Technology Review.

タイラー・コーエン 「投票率を上げるにはどうすればいい?」(2008年10月24日)

●Tyler Cowen, “How to get people to vote”(Marginal Revolution, October 24, 2008)


ダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman):・・・(略)・・・ ほんのちょっとした働きかけではあるものの、選挙結果を変え得るような効果を備えているものもあります。

選挙の投票日前に誰かに電話をかけるなりしてこう尋ねるのです。「今度の投票行きますか?」。それだけです。「投票に行く予定ですか?」。そう尋ねるだけでその(尋ねられた)相手が投票に行く可能性は大いに高まります。ほんの些細な働きかけ(操作)に過ぎませんが、見知らぬ人に「投票に行く予定ですか?」と尋ねられて「はい」と答えるだけで、「ええ、行く予定です」と答えるだけでその人が実際に投票に行く可能性は大いに高まるわけです。

ネイサン・ミアボルド(Nathan Myhrvold):先ほどのイーロン(イーロン・マスク)の指摘に戻ることになりますが、今お話いただいたやり方、つまりは、誰かしらを捕まえて「投票に行く予定ですか?」と尋ねるやり方ですね、そのようにして投票に行くように促すプライム(先行刺激)を与えるやり方の他にも相手に投票に行くように真正面から勧めるというやり方もありますよね。どちらか一方のやり方を選ぶとすればどちらになさいますか?

カーネマン:プライムを与える方が真正面から勧めるよりもずっとうまくいく可能性がありますね。というのも、真正面から勧められると相手はそれに抵抗しようとしかねないからです。その一方で、プライムを与えられるとちょっとばつの悪い思いをする1 と同時に何だか(投票に行く)コミットメント(約束)をしてしまったかのように感じもするものです。コミットメント(約束)の内容が明確なものであれば現実の行動に効果を及ぼす可能性がありますね。

リチャード・セイラー(Richard Thaler):どの時間帯に投票所に行く予定なのか? 投票所にはどのような手段(交通手段)で向かうつもりなのか? そういったことを尋ねると相手が投票に行く可能性は高まることになりますね。

カーネマン:「投票所はどこになっていますか? 」と尋ねるという手もありますね。

討論の全容はこちら。身の回りの環境やプライミング効果が人間の心理に対して持つ重要性がテーマになっているが、はじめから終わりまで大変興味深い討論となっている。この話題を教えてくれたStephen Morrowに感謝する。

ところで、反対に誰や彼やを投票に行かせないようにするためにはどうしたらいいのだろうか?

  1. 訳注;「投票に行く予定ですか?」と尋ねられて「ええ、行くつもりです」と答えたことが何だか引っかかる、という意味。 []

タイラー・コーエン 「リチャード・セイラーが若手研究者へ向けて送るアドバイス」(2013年1月23日)

●Tyler Cowen, “Career advice from Richard Thaler”(Marginal Revolution, January 23, 2013)


学者に成り立ての若手研究者に向けて私なりにアドバイスを送るとすると、指導教官から分け与えられた借り物のアイデアではなく(あるいは指導教官から押し頂いたアイデアに加えて)己のうちから湧き上がってくるアイデアに磨きをかけるべし、ということになるでしょう。それに加えて、考えるための時間を増やす一方で読むための時間は抑えるべきです。他人の研究を読むことに時間を費やしすぎると既存の研究にちょっとしたひねりを加えようとする方向に思考が向かってしまいがちです。まずは論文を書き上げる。その後にはじめて関連文献を渉猟する(あるいは、こっちの方がよくある話ですが、書き上げた論文をジャーナルに投稿して論文の査読者にどの文献を読まなきゃならないかを教えてもらう)。それが私なりの戦略です。極端な戦略ではあるでしょうが、あれもこれも一つ残らず読み尽くそうと試みるよりはマシです。あとは誰も手をつけていない話題を見つけてその話題を取り扱った一番乗り(一番最初の論文の書き手)になるよう心掛けるべきでしょう。10番目じゃだめです。50番目なんてもってのほかです。

インタビューの全文はこちら

タイラー・コーエン「ノーベル賞はリチャード・セイラーに」

Tyler Cowen “Nobel Prize awarded to Richard ThalerMarginal Revolution, October 9, 2017


この授賞は納得だね。これは行動経済学,経済的意思決定における心理学の現在の重要性,そしてキャス・サンスティーンとの共著による彼の名高いベストセラー「実践 行動経済学 健康,富,幸福への聡明な選択(原題:Nudge)」への授与だ。

セイラーに関する過去記事はこちら。僕らはこれまでも彼の研究を何度も取り上げてきている。彼のTwitterアカウントはこれグーグルスカラーはこちらノーベル賞の記者発表はこれで,ここにはたくさんのエッセイや諸々も載っている。キャス・サンスティーンによるセイラーの業績の概説はこちら

多くの人は知らないかもしれないけど, [Read more…]

スコット・サムナー「2.9%!(イェレンに朗報)」

[Scott Sumner, “2.9%! (Good news for Yellen),” Money Illusion, October 6, 2017]

最新の賃金レポートはジャネット・イェレンにとってすごい朗報だ:
[Read more…]

アレックス・タバロック「リチャード・セイラーがノーベル賞を獲得!」

Alex Tabarrok “Richard Thaler Wins Nobel!Marginal Revolution, October 9, 2017


リチャード・セイラーが行動経済学によりノーベル賞を受賞した!非常に素晴らしいというだけでなく,私の人生をより快適にしてくれる決定だ。その理由を読者諸兄もおそらくは知っているだろう。というのも,みんながどれだけ定年のために貯蓄をするか,どのように税金を払うか,腎臓をドナー提供するかどうかは,彼の業績の影響を既に受けている可能性があるからだ。イギリスでは,セイラーの業績は行動経済学を公共政策に応用しているBehavioral Insights Teamの着想の基ひとつとなった。2010年にこの団体が設立されて以降,アメリカを含む多くの国で同様の団体が結成されている。 [Read more…]

アレックス・タバロック 「夫も妻もノーベル賞受賞者」(2015年2月14日)

●Alex Tabarrok, “Valentine’s Day Nobel Puzzle”(Marginal Revolution, February 14, 2015)


バレンタインデーのクイズだ。夫も妻もともにノーベル賞を受賞している夫婦がこれまでに5組存在する。どの夫婦かわかるだろうか?

ヒントを一つ。5組の夫婦のうち4組は共同でノーベル賞を受賞している。残りの一組の夫婦はお互いに別々でノーベル賞を受賞しており、どちらか一方はノーベル経済学賞の受賞者だ1

  1. 訳注;共同受賞組の4組の夫婦は、ピエール・キュリー&マリ・キュリー夫婦(1903年度ノーベル物理学賞;アンリ・ベクレルを加えた3名での共同受賞)、フレデリック・ジョリオ=キュリー&イレーヌ・ジョリオ=キュリー夫婦(1935年度ノーベル化学賞;ちなみに、イレーヌ・ジョリオ=キュリーはピエール・キュリー&マリ・キュリー夫婦の間に生まれた娘)、カール・コリ&ゲルティー・コリ夫婦(1947年度ノーベル生理学・医学賞;バーナード・ウッセイを加えた3名での共同受賞)、エドバルド・モーセル&マイブリット・モーセル夫婦(2014年度ノーベル生理学・医学賞;ジョン・オキーフを加えた3名での共同受賞)。残りの一組(夫と妻がお互いに別々でノーベル賞を受賞しているケース)はグンナー・ミュルダール&アルバ・ミュルダール夫婦。夫のグンナー・ミュルダールは1974年にフリードリヒ・ハイエクと共同でノーベル経済学賞を受賞しており、妻のアルバ・ミュルダールは1982年にアルフォンソ・ガルシア・ロブレスと共同でノーベル平和賞を受賞している。詳しくはノーベル財団の公式サイトにあるこちらのページも参照のこと。 []