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サイモン・レン=ルイス「経済学者:イデオロギー過剰,経験則過少」

[Simon Wren-Lewis, “Economists: too much ideology, too little craft,” Mainly Macro, October 9, 2017]

昨日、ポール・クルーグマンがこんな議論を書いている——金融危機をふまえて新たな経済学思想が必要だという考えはまちがっているけれど、ビッグマネーや政治的右派に好都合な影響力あるイカレた考えにつながったのだという。ポールが言っていることには賛成する部分も多いけれど、付け加えたい点もある。いま考えていることは、ちょうどいまダニ・ロドリックの新著『貿易を率直に語れば』を読んでいる真っ最中なことに強く影響されている(この本については、できれば後日もっと語りたい)。
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サイモン・レン=ルイス「金融政策が学ぶべき教訓」

[Simon Wren-Lewis, “The lesson monetary policy needs to learn,” Mainly Macro, October 17, 2017]

先日,ピーターソン研究所で開かれたカンファレンス「マクロ経済政策再考」について,当然ポストを書かなくてはと思っていたけれど,最近になって,その仕事は Martin Sandbu にまかせる方が効率がいいのに気づいた.たいていの場合には意見が一致しているし,私より Sandbu の方がうまくやってくれてる.おかげで,意見が合わないめずらしい論点や,さらに議論を展開させたい論点にしぼって文章を書ける.
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サイモン・レン=ルイス「理想的市場の概念をネオリベラルはどうやって兵器化したか」

[Simon Wren-Lewis, “How Neoliberals weaponise the concept of an ideal market,” Mainly Macro, October 14, 2017]

「ネオリベラリズムなんてとにかく打倒しなきゃダメだ」と単純に信じている左翼は,コリン・クラウチによる新著に当惑しそうだ.著者はまず,グレンフェル・タワー火災の話から説き起こす.多くの人たちと同じく,クラウチも,ネオリベラリズムがいくつも繰り返してきた失敗の典型があの悲劇だと見ている.だけど,その一方で彼によれば本書は「ネオリベラリズムを一方的に悪玉に仕立てておしまいにしようとするものではなく,もっと肯定否定が入り交じった解明を試みる一冊だ.そういうやり方でなくては,ネオリベラリズムがもつ改革の能力を評価できない.」
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サイモン・レン-ルイス 「緊縮という強迫観念を理解する」2016年3月2日

Understanding the austerity obsession (Mainly Macro, Wednesday, 2 March 2016)

Posted by Simon Wren-Lewis

よく言われる,ケインズをちょっと真似た言葉: 経済学者は医者のようであるべきだ.

マーティン・ウルフが書いている.「緊縮という強迫観念は,借り入れコストがこんなに低い時でさえも(原文ママ)気違いじみている.」 IMF, OECD, そしてちゃんとわかっている人たちはみんな賛成である.ところが,この緊縮強迫観念にかられている人たちこそが公共投資に関する決定権を持つ階層の人々なのである.米国で,ドイツで,英国で.興味深い質問が一つ浮かぶ.この人々が罹患しているのはみな同じ病気なのだろうか? [Read more…]

サイモン・レン=ルイス「生産性と金融政策」

[Simon Wren-Lewis, “Productivity and monetary policy,” Mainly Macro, September 21, 2017]

イングランド銀行がまもなく金利を引き上げるという警告を発している.Chris Giles が指摘するように,これは前にもあったことだし,その前にもあった.だけど,だからといってこの話を無視すべきだという話にはならない.いつかは金利が引き上げられるからだ [1].たしかに彼ら(金融政策委員会)は真剣そうに聞こえる.だが,目下の成長率がこうも低い現状で,どうして金利引き上げが俎上に載せられたりするんだろう? Mark Carney の最新スピーチに1つ手がかりがある(強調は引用者によるもの).
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サイモン・レン=ルイス「学部生向けの経済学教育も21世紀に」

[Simon Wren-Lewis, “Undergraduate economics teaching moves into 21st century,” Mainly Macro, September 19, 2017]

CORE経済学カリキュラムのねらいは,数十年むかしの経済学じゃなくて今日の経済学を反映させた経済学入門を提供することだ.正当にも,ジョン・カシディに賞賛されている.すぐれたカリキュラムだとも思う.たんに初年度の学部生向けとしてすばらしいだけじゃなくて,経済学に関心をもった一般人向けとしてもすぐれている.どんなものかちょっと味見をしてみたい人は,このプロジェクトの主導者2人が書いた短い解説を一読してみるといい.
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サイモン・レン=ルイス「フォックスニュースは投票行動を左右する:経済学からの知見」

[Simon Wren-Lewis, “Economists show how Fox news changes votes,” Mainly Macro, September 14, 2017]

前にも述べたように,経済学者がだんだんメディア研究に参入してきている(なにしろ天然の帝国主義者なものでね).そこから,古くからの批判的な論争に関する実証的な証拠がもたらされつつある.一部のメディア報道に偏向があるのは,たんに視聴者・読者が党派的だからだろうか,それとも,そうしたメディア報道は政治的な見解を変える因果関係に一役買っているのだろうか? また,視聴者/読者はメディア報道の偏向を割り引いて受け止めているのだろうか,それとも,彼らの投票行動に影響を及ぼしているのだろうか?
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サイモン・レン=ルイス「経済政策におきた革命」

[Simon Wren-Lewis, “Revolutions in Economic Policy,” Mainly Macro, September 13, 2017]

公共政策研究所 (IPPR) の経済公正委員会が,「変化の時」と題してイギリス経済に関する網羅的な大部の報告書を公表した.後日あらためてこの報告書のいろんな側面について書きたいと思うけど,その基本的な前提となっているのは,経済政策立案に革新が必要だということだ――戦後のアトリー政権やサッチャー女史が行ったのと同様の革新が必要だということが前提になっている.経済政策の革新という考えの背景にある思考は,The Politcal Quarterly 掲載の論文で Alfie Stirling と Laurie Laybourne-Langton によって大筋がつくられた.
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サイモン・レン-ルイス「緊縮を定義する(再論)」(2017年9月6日)

Defining austerity redux  (Mainly Macro, Wednesday, 6 September 2017)

Posted by Simon Wren-Lewis

どちらかというと退屈な,定義に関する投稿.

以前の文章邦訳)で,緊縮が何を意味するか明確な定義は存在しないこと,人によってどういう意味で使ってるかが異なることを論じた.私の「一般理論」論文の文脈では,通常の用法の1つを精密化する定義を試みた.ただ,以前の投稿のコメント欄を見ると,納得しなかった人もいるようだ.

ツイッターでの最近のやり取りから,明確な定義が未だに待望されていること,一方で私の以前の定義は改善の余地があることを確信した.その以前の投稿では,私は緊縮をある種の財政健全化 — 公共支出の削減 — に等しいと定義するのは2つの理由から不十分だと主張した.1つ目: 単に「公共支出削減」と言えばいいじゃないか! 2つ目はより重要で,この定義だと,景気過熱の高みにおける(経済に害をおよぼさない)財政健全化と,不況のどん底における支出削減を同じように扱ってしまうというものだ. [Read more…]

サイモン・レン=ルイス「格差是正か貧困対策か」(2017年4月18日)

Simon Wren-Lewis, “Inequality or poverty (Mainly Macro, 18 April 2017)

トニー・ブレアの有名な言葉にこういうものがある:

人々の収入に開きがあるのを気にかけていないということではない。大金を稼ぐ人々がいるかどうかでもない。それらは私の関心ごとではない。私が気にかけているのは、機会に恵まれず、不遇で、貧しい人々だ。

労働党政府を含めほとんどのひとは、ブレア元首相が格差是正ではなく貧困対策に注力するつもりだと解釈しただろう。格差是正の歴史的トレンドと、その他さまざまなものとともに労働党が推し進めた貧困削減プログラムがそこに与えた影響(そしてこのプログラムが近い将来取り消されるかもしれない可能性)については、リックの素晴らしい議論を参照してもらいたい。 [Read more…]