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アレックス・タバロック「イデオロギーを仕事に持ち込むのはやめよう」

Alex Tabarrok “Mission ProtocolMarginal Revolution, June 14, 2021

ビジネスは人間が協力するためのもっとも重要な方法だ。「哲学書簡」において、ヴォルテールはフランスの友人に対し、ビジネスに注力することを通じてどのようにしてイギリス人が宗教的寛容を達成したかを説明している。

ロンドン株式市場に行ってみるといい。そこはおおよその裁判所よりも立派な場所なのだが、あらゆる国からの代表が人類の団結のために集うのをみることができるだろう。ユダヤ教徒、イスラム教徒、キリスト教があたかも同じ信仰を持つかのように互いに取引を行い、不信心者と呼ばれるのは破産したもののみだ。そこは長老派が再洗礼派を信用し、国教徒がクエーカーの約束を受け入れるところだ。この平和的かつ自由な集会所を出ると、ある者はシナゴーグへ行き、それ以外は飲みに出かける。そのうちある者は父と子と聖霊の名において大きな桶で洗礼を受け、またある者は自身も理解していないヘブライ語の単語をいくつか呟きながら息子の割礼を行い、別のものは教会に行って帽子をかぶりながら典型を待つ。これら全員が満足しているのだ。

ヴォルテールが理解していたのは、多様な人々が協力する場合には共通利益に集中し、宗教などそれ以外の(重要な)自らの愛着は家に置いてこなければならないということだ。残念ながら、社会正義に目覚めた系の運動は再度宗教をビジネス(そして生活に関するそれ以外の全ての側面)に持ち込んでいる。何が宗教かは変わったものの、その結末はヴォルテールにとって驚きのないものだろう。すなわち協力と友好関係の崩壊だ。だからこそ、僕はブライアン・アームストロングによる目標に専念するという企業原理急速に広まってきていることをとてもうれしく思っている。

Coinbaseのブライアン・アームストロングBasecampのジェイソン・フライドShopifyのトビアス・リュトケMediumのイヴ・ウィリアムズといった幾人かの起業家やCEOは、口にしずらいことを発現している。仕事場での社会正義運動に直面し、彼らはビジネスオーナーはきっぱりとビジネスに専念すべきであると決意したのだ。

ハッシュタグを作らない、反人種主義や中性的な代名詞1 に関するスレッドを作らない、10年前のツイートを理由に誰かを首にしようと公開書簡を送らない、政治を持ち込まない。アームストロングがよく知られた(あるいは知られていない)彼の2020年9月27日のブログ記事に投稿したとおり、ビジネスは「目標に専念」すべきなのだ。Slackでの悪口、社内メールは間違いなく現実生活へとこぼれだし、生産性に対する巨大な足かせなるのだ。

10月、Coinbaseのブライアン・アームストロングに刺激を受けた匿名の人々が、業務上の目標の範疇から外れた「活動や会話を脇に置く」ことを他の企業が始めることを目指し、「目標規約(Mission Protocol)」の旗の下に集った。(「目標専念は非政治的であることを意味しない」と彼らは書いている。「目標に専念するとは、目標に対して政治的であることを意味する。目標とはその達成のために自分たちが集った対象であり、そして目標とは、そのためにプロジェクトにおいて自身が戦っているものを指す」) 名高いベンチャーキャピタリストであり、「ハッカー哲学者」であるポール・グレアムはその支持を130万人のフォロワーに対してツイートした。Business Insiderでスタートアップに関する話題を担当しているメリア・ラッセルは、スタートアップが目標規約のスレッドに「ほんとそれな」と言いつつ参加していると書いている

啓蒙主義の最も偉大な成果のひとつは、宗教を卓上から取り除いたことだ。その結果は、平和と繁栄、そして産業革命だ。それと同じように、多様な人々の集団の間で協力を維持し、高水準のパフォーマンスで動かすことこそが偉大なリーダーの任務であり、それはつまり目標に専念するということなのだ。

  1. 訳注;原語はneopr-pronousで新たな代名詞の意。性別によって使いわけるheやsheの代わりにtheyを三人称単数代名詞とすること等が代表例。 []

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