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アレックス・タバロック「規制回避による裁定取引,レントシーキング,今年の冴えた仕事」

[Alex Tabarrok, “Regulatory Arbitrage, Rent-Seeking and the Deal of the Year,” Marginal Revolution, April 21, 2016]

昨日の『ニューヨークタイムズ』の全面広告で,「今年もっとも冴えた」仕事にニューヨーク不動産委員会 (Real Estate Board) から与えられる賞を,ニューヨークの不動産ブローカーのマーク・ウェイスが受賞したと称えていた.どんなものか気になったのでちょっと調べてみたところ,ウェイスが非常に成功を収めた仕事のうち1つについて情報がみつかった.

とある中国人デベロッパーが,287 パークアベニューサウスに1893年に建てられた9階建てビルを購入した.目的は,これを改築して分譲マンションと小売り物件に仕立てることだった.ところが,そこに問題がもちあがった

この1893年のランドマークビルは,2つの規制区画にまたがっていた.これにより,物件の半分は建築過剰ということになってしまっていた(…).287 パークアベニューサイスのビルを拡張しようとすると,蟻地獄から這い出るような苦しみを味わうことになる:

そこで,売却請負ブローカーのジェフリー・ニューマンと,彼のニューマン・グラッブ・ナイト・フランク (NGKF) の同僚マーク・ウェイスが1つ提案をした.この提案により,彼らはニューヨーク不動産委員会の「冴えた仕事」賞を獲得する.

さて,彼らがなにをやったかと言うと:

ビル内部の〔法規制より〕開発がいきすぎた部分からいくつかフロアをとりさってやれば,バイヤーがビル全体を法令に沿ったものにできることにニューマンは気づいた.これで,NGKF チームがこの区画について確認した〔低~中所得者向け住宅の併設により税金が一部免除される〕包含住宅の認可から追加で建築面積を増やす方法が得られる.

「つまり,4,000平方フィートをとりさってやれば,ビルに27,000平方フィートを追加できるって寸法でしてね」とニューマンは Real Deal 誌に語った.「そこが,このビルを売る他の方法と我々のアプローチがちがっているところですよ」

アイディアはたしかに冴えている.だが,その冴えた発想はただひたすらに土地利用規制の回避にそそがれていて,しかも規制回避の対価が高く付いたことに,みなさんお気づきだろう.土地利用規制法をうまくすり抜けるために,4,000平方フィートものとても価値あるニューヨーク不動産が破壊されねばならなかったんだから.(この仕事を考案して実施するためにそそがれた頭脳と法的労力については言うまでもない).

アメリカの都市の多くで建築費用があれほど高くつく理由を考えるときには,ぜひ次のことを思いだそう:「今年の冴えた仕事」とは,31,000平方フィートの建築をやろうというときには,そのスペースのうち4,000平方フィートを破壊さえすればいいって話だったんだ.


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