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アレックス・タバロック 「『かような条件が課されていたとしたらグラフェンも発見されずじまいとなっていたことでしょう』 ~ノーベル賞受賞者がイギリスの移民政策に喝!~」(2012年12月31日)

●Alex Tabarrok, “Restrictions on high skill immigration to Britain”(Marginal Revolution, December 31, 2012)


インデペンデント紙より。

イギリス政府による新たな移民制限策――EU域外からの移民労働者を対象とした最低年収要件の導入(年収3万1000ポンドを超える外国人労働者に限ってイギリス国内での就労を認める)および留学ビザ発給の厳格化――は有能な学者がイギリス国内の研究機関で働く機会を閉ざすことになる。そのように語るのはロシア生まれの物理学者であるアンドレ・ガイム博士。ガイム博士は画期的な「超素材」であるグラフェンを発見した功績により2010年にノーベル物理学賞を受賞しているが、ガイム博士は本紙の取材に対して「私をはじめとした研究チームの面々が(就労ないしは就学目的で)イギリスに入国しようとする時に(移民の制限を目的とした)かような条件が課されていたとしたらグラフェンも発見されずじまいとなっていたことでしょう」と語っている。

イギリスへの移民の年間の純流入数は20万人を超えているが、その数を「数万人単位」にまで減らすことを目的として今年度(2012年度)から移民の受け入れに関して新たな条件が課されることになった。その結果としてイギリスの研究機関で科学上の大発見がなされる見込みが薄くなりつつあるとガイム博士は警告する。

・・・(中略)・・・

ガイム博士は現在54歳。博士がイギリスの地に初めて足を踏み入れたのは1990年代初頭に遡る。当時の博士はロシア国籍の持ち主。イギリスにやって来たのはノッティンガム大学で博士研究員(ポスドク)として働くためだった。当時の年収は現在の価値に換算すると2万7000ポンド程度。当時の段階で年収3万1000ポンドという最低年収要件が課されていたとしたら博士はイギリスに入国できなかった(イギリスで博士研究員として働けなかった)ことになる。

ちなみにだが、ガイムは歴史に名を残す並み居る科学者の中でも個人的にお気に入りの一人だったりする。ノーベル賞(受賞理由は「グラフェンの発見」)もイグ・ノーベル賞(受賞理由は「カエルの磁気浮上」に成功)もどちらも受賞しているのはガイム只一人だけなのだ。たまげた話だよ


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