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サイモン・レン=ルイス「なぜ、我々はマンデルフレミングを教えるのをやめるべきなのか」(2013年3月26日)

[Simon Wren-Lewis, “Why we should stop teaching Mundell Fleming” Mainly Macro, March 26, 2013]

エコノミスト向け

私は、以前に現在どの主要な中央銀行もマネーサプライを決定していないのに、多くの学生たちが最初にマクロモデルとして出会うのが、IS-LMであることに不満を表明した。教科書で教えられているマンデルフレミング(Text version of Mundell Fleming : TMF)[1]は、最初に、そして大概は最後に、学生たちが教えられる短期開放経済モデルであり、それは同じ欠陥を持っている。けれども、TMFに付随する問題はさらに重大だ。これはカバーなし金利平価と矛盾しており、我々が基準としている現代マクロを利用するならば、THFは単に間違っている。

政府支出の一時的な増加の影響という時事問題を取り上げよう。我々は、TMFが一時的な増加と恒常的な増加とを区別していないことに直ぐに気を揉むべきだ。それは、両方とも産出量に影響しないと主張している。だから、全ての学生は変動相場制の下では財政政策に効果がないと学ぶ。これは一時的な支出の増加においては誤りだ。

TMF命題の論理は、通常さまざまな曲線を動かすことで証明されるが、それは実のところ些細なことだ。TMFでは、貨幣需要は、固定されたマネーサプライと等しくならなければならない。貨幣需要は、物価、産出量、利子率で決まり、短期において物価が固定され利子率が世界利子率に縛られるならば、産出量はどちらも変化させられない。この完全なクラウディングは、実質為替レートにおける通貨高を通して達成される。

しかし、なぜ国内利子率と世界利子率が等しくならなければならないのだろうか? カバーなし金利平価は、その必要がないことを示す。政府支出の一時的な増加は、産出量を上げ、固定されたマネーサプライが所与ならば、利子率を上げるだろう。これは通貨高の原因となるが、このショックは一時的な性質であり、長期為替レートは変化しないことを意味する。だから、現在の通貨高は期待される通貨安を暗示しており、それは、より高い利子率によって付けられた追加利益を相殺する。その結果は、産出量と国内利子率がより高くなる短期均衡だ。通貨高による部分的なクラウディング・アウトは存在するが、完全なクラウディング・アウトは存在しない。

さて、あなたはカバーなし金利平価のどこがそんなに素晴らしいのかと言うかもしれない。しかし、少なくともカバーなし金利平価は、ある単純な裁定理論に基づいている。私が理解できる限りでは、国内利子率と世界利子率が等しくなるという、TMFの仮定には同じくらい根拠がない。

上記の仮想実験において、マネーサプライが固定されているので、多少のクラウディング・アウトが発生するだけだ。利子率が代わりに固定されていれば、何も発生しない。利子率が固定されている場合、カバーなし金利平価は、政府支出が増加したときには現在の為替レートが変化しないと結論づける。ゆえにクラウディング・アウトは存在しない。固定相場制においても全く同じ結果が得られる。―これは、TMFが示唆するものとは正反対である。

次に、あなたはTMFが少なくとも恒常的な政府支出増加の影響を正しく理解していると、TMFを減刑する弁護をするかもしれない。私は、それは非常に弱い弁護だと考える。政府支出の恒常的な増加が総需要を増加させると仮定すれば、小国開放経済において、実質為替レートは長期における国内産出量の需要と供給を一致させるので締め出される。これはTMFにおける何よりもより基本的な結果だ。[2]

間違った理論を教えることに対するもう一つの弱い弁護は、それらが優れた理論よりも、より単純であるというものだ。しかしながら、我々はカバーなし金利平価と中/長期の実質為替レートの決定に関するこの基礎的な考えを結合して、TMFよりも複雑ではない小国開放経済の完全な理論を得られる。ゆえに、TMFは生き残るのだろうか?

多分、理由の一つには、ある種の2次元そして静学的なダイアグラムへの依存だ。けれども、私が説明しているこのシステムは、正に2つの方程式と2つの期間で表わせられる。最初の式は、おなじみの総需要曲線だ。これは静学的であり、以下の式を得る。

y = f (g, r, e )

ここで、gは政府支出のような可変変数、rは実質利子率、そしてeは実質為替レートの対数だ。第二期(中/長期)の変数を示すのに星マークを使おう。

y* = f(g*, r*, e* )

次に、(カバーなし金利平価とある一定の実質為替レートにより)r*は世界利子率 rw と等しくなり、y*はある種の古典的な供給面によって決定されるので、この方程式は第2期の実質為替レートを決定すると言える。― 私が上で述べた基本的な帰結だ。必要な他の方程式はカバーなし金利平価だけだ。

e = e* + rw – r

ここで、eの増加は通貨安であると定義される。政策が短期の国内実質利子率を決定するので、短期の実質為替レートは決定される。

総需要曲線は、すでに学生たちにはお馴染みであり、開放経済への適応は直感的に理解できる。カバーなし平価は教えるのが簡単だ。カバーなし金利平価では、利子率の差は期待キャピタル・ゲインまたは期待キャピタル・ロスによって相殺される。ゆえに、私は、このようなものが短期開放経済マクロモデルの標準的な入門になるべきだと思う。そしてTMFは消え去るべきだ。

[1] 開放マクロ経済において、重要なものすべてに3文字の略語を付けなければならないことはよく知られている。
[2] それは、購買力平価と矛盾するだろう基礎的な結果であるが、それは別の話だ。


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