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タイラー・コーエン「これまで我が身に起きたことでいちばん統計的にありえなかったのは?」

[Tyler Cowen, “What is statistically the most improbable thing that has happened to you?” Marginal Revolution, March 25, 2016]

――という問いを,ロバート・フランクが近刊『成功と運:幸運と能力主義の神話
でなげかけている.この本の主眼は,運不運がぼくらの生活ではたす主要な役割を明らかにして,その事実から導かれる社会と政策にとっての含意を具体的にはっきりさせることにある.

ぼくの見解は,ボブの見解よりもシュトラウス的だ:つまり,〔事実による〕裏付けがあろうとなかろうと,能力主義の概念をぼくらは信じなくてはならない.(ひとつ留意してほしい.ボブもいくつかの章でこの論点の一バージョンをとりあげている.そうした箇所で,幸運のことを思い起こすと人々はもっと寛大で気前よくなると彼は論じている.それでも,ぼくの考えでは,社会は「功績,当然の賞罰」(desert) の強い感覚を必要とするし,寛大さ・気前よさは,ひとの幸運について虚偽のおおらかさをもつことからでてくることが多い.) ともあれ,ボブの本のご多分に漏れず,本書も深くて思考をうながす一冊だ.文章もいい.あと,この本を読むとボブの実におもしろい人生について多くを知れる.たとえば,心臓発作をどう生き延びたのか,どうやってコーネル大学のテニュアをぎりぎりまで引っ張ったのか,生みの両親のゆくえをどうして追いかけることに決めたのか,といった話が盛りだくさんだ.

本のホームページはこちら.第1章を PDF で読める.冒頭が例の心臓発作の話だ.

ともあれ,コメント欄は開放している:みんなの身に起きたことで,統計的にいちばんありそうになかったことはなんだろう?


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