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タイラー・コーエン「世界各国の正直さ」

Tyler Cowen “Civic honesty around the globe” Marginal Revolution, June 22, 2019


旅行に出てて話題にちょっと乗り遅れてしまったけれど,とにかくもこの件を蒸し返してみよう。

市民の正直さは社会資本と経済発展の必須要素であるが,しばしば物質的な利己心と対立する。私たちは世界40か国355都市における実地実験を用い,正直さと利己心とのトレードオフを検討した。私たちは異なる金額が入った17000個以上の財布を公的機関や民間機関に届け出,財布を受け取った側が返却のために持ち主に連絡を取るかを計測した。ほぼすべての国において,入っている金額が大きいほど市民が財布を返却する可能性が高かった。この結果は非専門家及び専門家の双方が予想しえなかったものだ。追加的なデータは,私たちの主要な発見が利他的な配慮及び自分自身が泥棒であると見なしてしまうことへの忌避の組み合わさったものであることを示唆しており,後者は不正直であることによる物質的な利益が高まることで増大する。

以上がアラン・コーン,マイケル・アンドレ・マレシャル,デビッド・タンネンバウム,クリスティアン・ルーカス・ズンドの新論文の要旨だ。これを後だしで言うのは簡単だけれど,この結果は直感的にしっくりくるものだと思う。下の図が各所で話題になっている各国ごとの結果だ1

[訳注;図中左は,各国ごとに実験において返却の連絡のあったお金の入っていない(=0ドル)財布(No Money=ベージュ色の点)とお金入り(=13.5ドル)の財布(Money=赤色の点)それぞれの割合。財布の中の金額は,各国の購買力によって調整した。図中右は,お金の入っていない財布の場合の絶対応答率に基づいた4分位毎のお金入り財布とお金の入っていない財布の平均差。誤差の線は標準誤差を示す。]

実際に返却の連絡がされた割合とその予想を対比したグラフはこちら。専門家は,実際の結果よりも全体的により多くの協力がなされると予想した。それはとりわけお金の入ってない財布について顕著だけれども,たくさんのお金が入っている場合についてはほぼほぼ正しく推測した。非専門家はまったく逆の予想をした。

今回の情報を提供してくれた多くの読者に感謝。

  1. 訳注;なお,日本は調査対象に含まれていない。 []

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