タイラー・コーエン「科学研究のコスパは悪くなっているのでは」

[Tyler Cowen, “Science is getting less bang for its buck,” Marginal Revolution, November 16, 2018]

『アトランティック』のパトリック・コリソンとマイケル・ニールセンによる記事

(…)今回の調査のために,これまでにノーベル賞を受賞したさまざまな発見について,それぞれの専門分野の科学者たちに比較してもらうことにした.次に,回答でえられた発見のランキングを用いて,ノーベル賞を受賞した発見の質が過去数十年でどう変わってきたのかを判定した(…)

こうしてできあがったグラフは,1980年代の終盤で止まっている.なぜそうなったか.近年,ノーベル委員会が賞を授与している研究は,1980年代と70年代になされたものに偏っているからだ.それどころか,1990年以降になされた発見でノーベル賞を受賞したものは3つしかない.これでは件数が少なすぎて,1990年代のノーベル賞発見の質を評価しようにもよい評価ができない.そのため,今回の調査ではそうした賞を検討しなかった.

ただ,1990年以降の発見でノーベル賞を受賞したものが数少ないことそれ自体が,示唆に富む.1990年代~2000年代は異例な期間で,ノーベル委員会が過去に遡って昔の研究に賞を授与する際だった傾向を見せている.べつに80年代や70年代がそう優れた時期だったわけでもないことを考えると,これは物理学にとって悪い知らせだろう.(…)

どうして科学はこれほど巨額の資金をかけながらもそれに見合うほどに人類の知識を産み出さなくなってしまったのだろう?

リンク先を見てもらえば,もっと証拠と論議を読める.こちらの付論では,彼らの実証的な研究についてさらに詳しく書かれている.紹介するまでもなく必読といえそうだ.

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