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タイラー・コーエン 「『クリスマスの死重的損失』三題」(2004年12月24日、2006年12月6日、2008年12月22日)

●Tyler Cowen, “Who is to blame for the deadweight loss of Christmas?”(Marginal Revolution, December 24, 2004)


「クリスマスの死重的損失」1を引き起こしている容疑者の筆頭は高齢の親戚ということのようだ。

最も見当違いな(死重的損失の大きな)プレゼントを贈っているのは誰かと言うと高齢の親戚連中であり、彼らが贈るプレゼントの金額はプレゼントの受け手の評価よりも50%以上も高いというのだ2。とは言え、賢くもと言うべきか、高齢の親戚の多くはプレゼントに現金を渡すようにしているようだ。当たり前といえば当たり前だが、友人や恋人・配偶者から贈られるプレゼントは高齢の親戚がくれるプレゼントほどには的外れではないという。最も見当違いな(死重的損失の大きな)プレゼントは25ポンド~50ポンドの価格帯の品物3 だというのは興味深いところだ。25ポンド~50ポンドというと、よく考えずに慌てて買った後ろめたさを和らげるには十分なだけ高価だが4、プレゼントを贈る相手の知り合いに(プレゼントを贈る相手の好みについて)いちいち確認する手間をかけずに済ませるには十分なだけ安価な値段ではある5

全文はこちらをご覧になられたい。

(追記)「今年はクリスマスプレゼントの交換はやめましょうよ」。母親と姉からそのような申し出があったが、クリスマスプレゼントを交換し合う必要性に疑問を感じている御仁にとってはこれほどまでに何の抵抗もなくすんなりと同意できそうな申し出は他にはないだろう。

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●Tyler Cowen, “The deadweight loss of Christmas, continued…”(Marginal Revolution, December 6, 2006)


「クリスマスの死重的損失」に伴う問題についてはあれこれと論じられているが、まだまだ足りない。そう言わんばかりの研究結果が公けにされたようだ。

「あの人はこの品物を気に入ってくれるに違いない」。そう確信してプレゼントを贈ったものの、ふたを開けてみると的外れもいいところだった6。そういう経験はないだろうか? よく知っている相手の好みほど推し量るのは難しい。つい最近公けにされた研究結果が示唆しているところによると、そのような可能性があるという。ティルブルフ大学およびルーヴェン・カトリック大学にそれぞれ籍を置く研究チームが手掛けた研究によると、私たちは親しい相手のことになると実態以上に「あの人は自分と似た者同士だ」と考えがちであり、親しい相手の好み(その相手がどんな品物を好んでいるか)を推し量る際にそれまでの付き合いを通じて得られた情報に過度に重きを置く傾向にある(そのことがかえって相手の好みを正確に推し量る妨げになる)、ということだ。

詳しくはこちらをご覧になられたい。「クリスマスの死重的損失」については過去にもこちらのエントリーで取り上げたことがある。あわせて参照されたい。

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●Tyler Cowen, “Are men or women more tolerant of inappropriate gifts?”(Marginal Revolution, December 22, 2008)


クリスマスプレゼントを買うために店を見て回っている最中に是非とも心に留めておいてもらいたいことがある。それは何かと言うと、男性(ボーイフレンド)相手に的外れな(その相手の好みに合わない)プレゼントを贈ってしまうとその相手(彼)との関係(恋愛関係)が破綻する危険性に晒されてしまう恐れがある一方で、女性(ガールフレンド)相手に的外れなプレゼントを贈ってしまってもその相手(彼女)との関係(恋愛関係)に亀裂が生じる危険性は男性(ボーイフレンド)相手に同じ過ちを犯す場合ほどには高くない、ということだ。

私にしてもロビン・ハンソン(Robin Hanson)にしても「本当にそうだろうか?」と疑わずにはいられないというのが正直なところだが、詳しくはこちらをご覧になられたい。ちなみに、件の研究者たちは次のような説明を加えている。

件の研究者らの考えによると、今回の研究結果は女性に全般的に備わる傾向――(恋人をはじめとした)他者との関係をどうにかして守り抜こうとする傾向――とも辻褄が合うものであり、女性が的外れなプレゼントをもらってもポジティブな(好意的な)反応を見せるのはクズみたいなプレゼントを贈られたことに伴う落胆に抵抗しようと心理的な防衛機制の一種が働いている結果だ、という。

件の研究チームの一員は語る。「恋人から的外れなプレゼントを贈られたことで二人の関係にヒビが入りかねない脅威に晒される格好になったわけですが、女性は男性以上に『プレゼントの贈り手と自分とは似た者同士なんだ』という意識を守り抜こうと強く動機付けられているということなのかもしれません」。さらに付け加えて語るところによると、「女性は男性に比べると他者との関係に亀裂を生みかねない脅威に抵抗しようとする傾向が強いわけですが、女性に全般的に備わるそのような傾向」が今回の研究結果の背後に控えているのではないかということだ。

皆さんはどう思われるだろうか?

  1. 訳注;「クリスマスの死重的損失」=クリスマスプレゼントを贈る相手の好みを見誤ってしまい、的外れなプレゼントを贈ってしまうこと(具体的には、訳注2にあるように、プレゼントの受け手の評価よりも高額のプレゼントを贈ってしまうこと)に伴う損失を指している。 []
  2. 訳注;例えば、高齢の親戚は1万5千円を出してプレゼントを買ったが、プレゼントの受け手はもらった品物を1万円くらいと評価している(自分で買うなら1万円くらいまでなら出してもいいと考えている)、ということになる。 []
  3. 訳注;1ポンド=144円の為替レートで換算すると、25ポンド~50ポンドの品物は日本円だと3600円~7200円に相当することになる。 []
  4. 訳注;「とりあえずはこれだけ出して買ったのだから格好は付くだろう」といった言い訳を自分に言い聞かせることができる。 []
  5. 訳注;仮に相手がプレゼントを気に入ってくれなくても大して堪えない程度の金額(その一方で万円(あるいはそれよりも上の)単位のプレゼントを贈ったのに相手に気に入ってもらえなかったらかなり堪える)、という意味。 []
  6. 訳注;相手の好みをよくわかっておらず、そのため相手の好みに沿わないプレゼントを贈ってしまう結果となってしまった、という意味。 []

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