経済学101は主に皆様の寄付によって賄われています。温かい支援をお待ちしています

タイラー・コーエン 「ゲーリー・ベッカーの見過ごされた貢献」(2014年5月4日)

●Tyler Cowen, “Some neglected Gary Becker open access pieces”(Marginal Revolution, May 4, 2014)/(訳者による付記)1992年にノーベル経済学賞を受賞した経済学史上の生きる伝説の一人であるゲーリー・ベッカーが2014年5月3日に逝去しました。83歳でした。ご冥福をお祈りします(シカゴ大学による訃報記事はこちら)。


ゲーリー・ベッカー(Gary Becker)の貢献を要約するというのは経済学の内容を要約するようなものであり、そんなことははっきり言って不可能だ。それぞれの経済学者――現存しているか、既に死去しているかを問わず――のベスト論文を30本集めたもの(「ベスト30」)を比べた場合、ベッカーの「ベスト30」がベストに違いない。

以下にベッカーの論文をいくつか掲げることにするが、いずれも彼の業績の中では「最も知られている」範疇には入らないだろう。

1.Irrational Behavior and Economic Theory”(pdf):経済主体が何らかの「非合理性」を抱えていると想定しても、経済学の基本的な定理は依然として妥当するだろうか?(ヒント:「イエス」)

2.Altruism, Egoism, and Genetic Fitness: Economics and Sociobiology”(pdf):タイトル(「利他主義、利己主義、遺伝的適応度:経済学的なアプローチと社会生物学的なアプローチ」)がすべてを物語っている。1976年に書かれた論文。

3.A Note on Restaurant Pricing and Other Examples of Social Influence on Price”(pdf):繁盛しているレストランがお客で混み合う土曜の夜にチャージ料金を引き上げないのはどうしてなのだろうか?

4.The Quantity and Quality of Life and the Evolution of World Inequality”(トマス・フィリプソン(Tomas J. Philipson)&ロドリゴ・ソアレス(Rodrigo R. Soares)との共著論文):各国の間で寿命の長さが収斂しつつある1原因とその重要性を扱った論文。

5.Competition and Democracy”(pdf):1958年に書かれた論文。この論文で指摘されている基本的なポイント――政府による市場への介入が結果を改善できずに終わることが多い理由――は、今でも大抵の人々に見過ごされている。

6.The Challenge of Immigration: A Radical Solution”(pdf):「アメリカに移住する権利をオークションにかけよ!」2というラディカルな提案がなされている小冊子。

  1. 訳注;国ごとの寿命の長さに差がなくなってきている []
  2. 訳注;アメリカへの移住を考えている人に一定額の代金の支払いを要求し、その支払いに応じた者にだけ移住を認める []

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください