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タイラー・コーエン 「我が友へ捧げるネタニ題 ~フィクションについて、精神疾患について~」(2006年10月22日)

●Tyler Cowen, “Claims about my friends”(Marginal Revolution, October 22, 2006)


まずは、我が友たるロビン・ハンソン(Robin Hanson)が食いつくであろう話題から紹介するとしよう。

フィクションを多く読んでいる人物ほど、他者の気持ちを読み取る能力が高く、共感能力を測るテストで高い点数を記録する傾向にあった。それとは反対に、事実に即したノンフィクションを多く読んでいる人物ほど、共感能力を測るテストで低い点数を記録する傾向にあった。レイモンド・マー(Raymond Mar)率いる研究チームの実験によると、そのような結果が見出されたという。他者への理解を深めるための(児童向けだけにとどまらず、成人向けの)教育のあり方を考える上で示唆に富む結果、とはマーの言だ。

(ハンソンのような)シグナリング理論の愛好家であれば、因果の向きはどちらでもあり得る1と語ることだろう。

次に紹介するのは、もう一人の友たるブライアン・カプラン(Bryan Caplan)が食いつくであろう話題

精神疾患は、身体の疾患に比べると、「リアルさ」に欠ける。被験者となった大学生にしても、同じく被験者となった(メンタルヘルスの)専門家にしても、全般的な傾向としてそのように考えているらしいことが判明したという。例えば、身体の疾患に関しては、患っているか患っていないか2のどちらであるかをはっきりと区別できるが、精神疾患に関しては、そうはっきりと白黒つけられない、というのが被験者の大半の答えだったという(ただし、被験者のうちで専門家だけに話を限ると、3分の1は、精神疾患に関しても、患っているかそうじゃないかのどちらであるかをはっきり区別できると答えたという)。さらには、学生にしても、専門家にしても、身体の疾患は、精神疾患に比べると、(医者などの専門家による判定があろうがなかろうが実在していることが疑い得ない)「自然」な病という意見に強く同意する傾向にあったという(疾患ごとの認知度の違いにかかわらず、結果は同じとのこと)。

  1. 訳注;フィクションを多く読んでいる人物ほど共感能力が高い(という相関関係が見られる)のは、フィクションを読む結果として共感能力が高められるという因果関係があるからかもしれないが、その一方で、共感能力がもともと高い人がフィクションをよく手にとって読んでいるだけ(という逆方向の因果関係があるから)かもしれない、という意味。共感能力が高いと(物語の世界に入り込みやすいなどの理由で)フィクションを読むのも苦にならないというようなことであれば、後者の因果関係が成り立つ可能性もあるが、その場合は、フィクションを読むという行為(あるいは、フィクションの愛読者であること)は、共感能力の高さを周囲に伝えるシグナルとはなり得るが、フィクションを読めば読むほど共感能力が高まるとは限らない(例えば、学校の授業で小説を読む時間を設けたり、小説を読む宿題を出したとしても、児童の共感能力の底上げにつながるとは限らない)ことになる。 []
  2. 訳注;例えば、高血圧症かそうでないか []

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