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タイラー・コーエン 「文学作品で学ぶ経済学」

●Tyler Cowen, “Economics and literature”(Marginal Revolution, October 2, 2003)


パデュー大学に籍を置くマイケル・ワッツ(Michael Watts)が編纂した『The Literary Book of Economics』のコピーをつい先ほど受け取ったばかりだ。

この本では数多くの文学作品の中から経済学上の概念と関わりのある文章が抜粋されており、個人的にお気に入りの一冊だ。例えば機会費用(opportunity cost)の項ではロバート・フロスト(Robert Frost)の詩である“The Road Not Taken”(「行かなかった道)が引用されている。

また、平等(equality)の項ではカート・ヴォネガット(Kurt Vonnegut)のSF短編“Harrison Bergeron”(「ハリスン・バージロン」)が引用されている。この作品は平等主義(egalitarianism)に対してこれまでに投げ掛けられた批判の中でも最も辛辣なもののうちの一つだと言っていいだろう。非常に短い作品なので時間に余裕があるようなら先のリンクをクリックして一読してみたらいいだろう。

ちなみに、「ハリスン・バージロン」の出だしは次のようになっている1

時は2081年、人類はついに平等を手にした。神の前や法の下では誰もが平等だというにとどまらない。いかなる意味でも人類は皆平等になったのだ。知能や見た目で周囲より秀でた者はいない。周りと比べて力が強かったり動きが素早い者もいない。こうしたありとあらゆる面での平等は憲法修正第211条、第212条および第213条を通じて実現されたものであり、かくの如く万人の間で平等が保たれているのは合衆国ハンディキャップ賦課局で働く職員たちが監視の目を絶えず光らせているおかげである。

富や所得が増えるにつれて安全に対する需要も高まるという――アーロン・ウィルダフスキー(Aaron Wildavsky)の名前と結び付けられることの多い――経済学上の命題はご存知だろうか? ワッツのこの本によると、イギリスの詩人であるアレキサンダー・ポープ(Alexander Pope)が1737年に創作した詩“Imitations of Horace”(「ホラティウスに倣いて」)の中で既に同様のアイデアが語られているということだ。

本の端から端まですべてに目を通す必要はなく、348ページの快適なブラウジングの旅を楽しむつもりで手にとってみればいいだろう。他にはジョン・ミルトンやアイン・ランド、トーマス・マン、ジョン・スタインベック、ヴィクトル・ユーゴー、ジョージ・オーウェルなどの作品も引用されている。かなりお薦めの一冊だ。

  1. 訳注;「ハリスン・バージロン」の邦訳はカート・ヴォネガット(著)/伊藤典夫他(訳) 『モンキー・ハウスへようこそ〈1〉』の中に収録されている。以下の引用は拙訳。 []

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