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タイラー・コーエン 「本物の囚人は『囚人のジレンマ』に陥るか?」

●Tyler Cowen, “The prisoners’ dilemma with actual prisoners”(Marginal Revolution, July 8, 2013)


本物の囚人を対象とする「囚人のジレンマゲーム」の実験を行った研究があるようだ。Menusch KhadjaviとAndreas Langeによる共著論文がそれだ。

本論文では本物の囚人と学部生(ともに女性)をそれぞれ被験者とする2タイプの「囚人のジレンマゲーム」の実験を行った1。同時手番2の囚人のジレンマゲームにおいては、学部生よりも囚人の方が協調行動を選択する割合が高かった3。一方で、囚人のジレンマゲームが逐次手番4のかたちで行われた場合、学部生同士のケースでは先手が協調行動を選択する割合は同時手番ゲームの時よりも高まることになったが5、囚人同士のケースではそのような変化は見られなかった6。また、後手のプレイヤーに関しては学部生同士のケースでも囚人同士のケースでも似たような行動が観察された7。社会的選好(social preferences)に従って行動している人の割合は囚人と学部生との間でそれほど違いはなく、またその割合はかなり高いことが本論文の実験を通じて見出されたと言えるだろう。

この研究の概要についてはこちらのエントリーを参照のこと8。この話題に気付くきっかけをくれた@Noahpinionに感謝。

  1. 訳注;囚人と学部生がペアになって囚人のジレンマゲームを行うというわけではなく、囚人は囚人同士で、学部生は学部生同士でゲームを行う。 []
  2. 訳注;2人のプレイヤーともに相手がどのような戦略を選んだかを知らない状態で自らの戦略を決定する。 []
  3. 訳注;囚人のうち55%、学部生のうち37%がそれぞれ協調行動を選択したとのこと。 []
  4. 訳注;2人のプレイヤーのうちまず最初に行動するプレイヤー(先手)はもう一方のプレイヤー(後手)がどのような戦略を選ぶかを知らない状態で自らの戦略を決定するが、後手のプレイヤーは先手が選んだ戦略を知った上で自らの戦略を決定する。 []
  5. 訳注;先手を務めた学部生のうち63%が協調行動を選択したとのこと。 []
  6. 訳注;協調行動を選んだプレイヤー(先手)の割合は同時手番ゲームの時とそれほど変わらなかった。 []
  7. 訳注;先手が協調を選んだ場合、学部生同士のケースでも囚人同士のケースでも後手のプレイヤーのうちおよそ60%が協調を選んだのこと。一方で、先手が裏切りを選んだ場合、後手のプレイヤーのほぼすべてが(1人の例外を除いて)裏切りを選んだとのこと。 []
  8. 訳注;実験結果を慎重に解釈する必要性も含めてこの研究の詳細については次の記事も参照のこと。 ●Tania Lombrozo, “The ‘Prisoner’s Dilemma’ Tests Women In And Out Of Jail”(NPR’s 13.7 Cosmos and Culture blog, July 29, 2013) []

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