●Tyler Cowen, “Back markets in everything those new service sector jobs”(Marginal Revolution, February 2, 2017)
ティム・シュタイナー(Tim Steiner)氏の背中に彫られた見事なタトゥー。そのデザインを請け負ったのはとある著名なアーティスト。その所有者は(シュタイナー氏ではなく)ドイツ人のアートコレクター。シュタイナー氏が亡くなると、タトゥーが彫られた部位(皮膚)が剥がされて額に入れて飾られる決まりになっている。存命中は(背中のタトゥーが見えるように)シャツを脱いだ状態であちこちのギャラリーで座って過ごすことになるという。
「アート作品を背中に背負っているんです。私はその作品の運搬人なんです」とシュタイナー氏。現在40歳。(スイスの)チューリッヒ出身で前職はタトゥーパーラーのマネージャー。
話は10年前に遡る。シュタイナー氏がその当時付き合っていた恋人がベルギー出身のアーティストに出会ったのが事の始まり。そのアーティストの名はヴィム・デルボア(Wim Delvoye)。豚にタトゥーを入れた作品で物議を醸し名を売ることにもなったアーティストだ。
その恋人はデルボアから「新作を描くための『人間キャンバス』になってもいいという人物を探している」と伝えられたという。誰か興味を持ってくれそうな人を知らないかと尋ねられたというのだ。
・・・(略)・・・シュタイナー氏の背中に彫られたタトゥーの作品名は『TIM』。2008年にドイツ人のアートコレクターであるリク・ラインキング(Rik Reinking)氏が15万ユーロ(13万ポンド)で買い取った。シュタイナー氏は15万ユーロの3分の1にあたる5万ユーロを受け取ったという。
「私の皮膚はあれ以来リク・ラインキング氏のものなんです」とシュタイナー氏。「私の背中はキャンバスなんです。私という人間は背中に背負った作品を一時的に収めておく額なんです」。
シュタイナー氏が亡くなるとタトゥーが彫られた背中の部位(皮膚)を剥がした上でその箇所を額に収めてラインキング氏のプライベート用のアートコレクションに加えられる契約内容になっているという。
そんなのゾッとするばかりじゃないかという声に対してシュタイナー氏は次のように応じている。「ゾッとするという感覚は相対的なものなんですよ」。
記事の全文はこちら。相変わらずキレキレのティム・ハーフォード(Tim Harford)――快著である『Messy』(邦訳『ひらめきを生み出すカオスの法則』)の著者――経由で知ったものだ。
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