ノア・スミス「みんなが待ち望んでいた授賞:カード、アングリスト、インベンスのおかげで経済学はより科学的になった」(2021年10月12日)

Noah Smith ”The Econ Nobel we were all waiting for -Card, Angrist, and Imbens have made econ a more scientific field.-“, Noahpinion, October 12, 2021

新しい考えは全てを疑いに持ち込み、
火の元素は完全に消失し、
太陽も大地も失われ、誰の知恵をもっても
どこを探すべきかは教えてくれない

ジョン・ダン

2021年のノーベル経済学賞は、その実証経済学における業績によってデビッド・カード、ジョシュア・アングリスト、グイド・インベンスが受賞した。誰がノーベル経済学賞を受賞するかを予測するのにはとっても簡単なやり方がある。その分野においてまだ受賞してない最も影響力のある人たちを並べて、ミクロ理論家が2年連続で受賞することはないと仮定するんだ。最も影響力の強い人たち10人か20人そこらを、その研究がインパクトを与えた時点で見た場合の影響力の大きさの順に並べて、その中でもその影響力が一番昔にさかのぼる人が受賞する可能性が最も高い。(もちろんここで問題となるのは影響力が強いのはだれかを決めることだ。インパクトランキングや、経済学者に訊いてみたり、単にその分野で全体として何が起きているかの知識に基づいたりといったことの組合せでやるんだけど、思ったより難しくはない)

何年もの間、このやり方で僕も含めて多くの人たちがデビッド・カードがノーベル賞を受賞すると予想した。アラン・クルーガーとの共著による最低賃金に関する1994年の論文は経済学業界全体を揺さぶった衝撃的なもので、新時代の訪れを告げるものだった。それ以降、カードは実証労働経済学の最前線に立ち続け、教育から移民男女間の賃金差格差やその他ありとあらゆるものの研究に自らが先鞭をつけた技術を拡張・改善してきた。この分野におけるアングリストとインベンスの影響も同じようにとてつもないものなのだけれど、それが出てきたのはもっと後になってからなので、彼らが受賞するのはもっと後の年になっていたとしても不思議じゃなかった。でもカードの受賞は明らかに遅すぎだ。

【続きはノア・スミス著『ウィーブが日本を救うーー日本大好きエコノミストの経済論』(日経BP)でご覧ください。】

Noah Smith ”The Econ Nobel we were all waiting for -Card, Angrist, and Imbens have made econ a more scientific field.-“, Noahpinion, October 12, 2021

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