わーお.オーバーン大学(アラバマ州)の経済学部の教授3名,Duha Altindag, Samuel Cole & R. Alan Seals Jr が,自分たちの大学がとっているコロナウイルス政策を研究してる.同大学の執行部は,対人距離に関してアラバマ州知事が出した公衆衛生命令に反して,独自政策をつくった.これによって,対面授業の約半数で登録者数が法的上限をこえる結果になっている.そうしたリスクがより高い方のクラスの担当を割り振られた教授たちは,リスクを引き受けるためにより多く対価を支払われてこそいるけれど,立場が弱い人たちだ.大学の執行部はうれしくないって話を聞いた.著者たちがテニュアをもってるといいんだけど.
本稿では,合衆国の大きな公立大学であるオーバーン大学における職業的な COVID-19 リスクの「市場」を検討する.オーバーン大学が2021年春にとった施策により,対面授業のほぼ半数で履修登録者数が州法で許される法的上限を超える結果となった.この州法は,CDC の対人距離ガイドラインをふまえて制定されている.我々の研究結果からは,政治的に立場の弱い講師たちがリスクのより大きい教室で講義を担当するよう体系的に割り振られていることがうかがえる.たとえば,大学院生のティーチングアシスタント,非常勤講師,女性といった人々がこれにあたる.教室のリスクの操作変数として各クラスの分散性を利用し,賃金のヘドニック回帰分析から得られた操作変数法による推定では,リスクの大きいクラスを少なくとも1つ担当した講師たちは,安全な講義のみを担当した講師たちよりもより多くの支払いを受けていることが示されている.COVID-19 リスク・プレミアムは1クラスあたり 8,400ドルと推定される.