アレックス・タバロック「ひょっとしてプラスチックは肥満のもとになるのかも?」(2022年9月13日)

[Alex Tabarrok, “Plastic Might Be Making You Fat,” Marginal Revolution, September 13, 2022]

ワシントン・ポスト: 科学者たちのあいだで,こんな考えが徐々に広まりつつある.肥満の大きな要因だとは思われずに見過ごされてきたものが,ほぼ確実に私たちの環境にある――とりわけ,環境内に広く行き渡っている化学物質があり,これによって,人体の代謝の正常な機能が阻害され,エネルギーの摂取と消費を人体が制御しにくくなる,というのだ. 「オビーソゲン」(”obesogens”; 「肥満素」)と呼ばれるさまざまな化学物質のなかには,肥満に関連した脂肪組織と特定の種類の細胞の生産を直接に促進するものがある.困ったことに,こうした化学物質は現代の生活のごく基本的な製品の多くに使われている――プラスチックバッグ,衣類・家具,化粧品,食品添加物,除草剤・殺虫剤などに使われている. 10年前,「化学物質によって肥満になる」というアイディアは,きわものの仮説だった.だが,いまはちがう. 「まちがいなく,オビーソゲンは肥満の広まりに寄与している要因です」と,ブルース・ブラムバーグは取材にメールで回答した.彼は,カリフォルニア大学アーバイン校で肥満と内分泌攪乱物質を研究している専門家だ.「難しいのは,肥満のうちどれくらいの割合が化学物質摂取に関連しているのかを見極めることです.」

この説を支持する証拠のなかでも重要なものは,以前,このブログの記事「動物も太ってきてる」で紹介した.猫や犬もだんだん太ってきているうえに,ネズミも太ってきてるし,なんと,ごく標準的な食事を与えられて対照群に使われるネズミたちすら太ってきてるんだ.まさか,実験による証拠もあるとは知らなかった.

とりわけ,化学物質摂取で生じる結果は,摂取した生き物の生涯では現れないかもしれない.だが,その影響はいわゆるエピジェネティックな機序によって,数世代先の子孫にまで継承されうる.典型例は,有機スズ化合物のトリブチルスズ (TBT) だ.TBT は,木材の防腐剤をはじめとして,さまざまな用途に利用されている.これまでに,ブラムバーグと共同研究者たちが行った複数の実験では,安全とされる低レベルの TBT にネズミを曝露させたところ,その後の3世代で脂肪の蓄積量が有意に増加したことが見出されている.

全体として,この化学物質の件はありそうなことに思える――昔は,豊かな人々でさえ,これほど容易に太らなかった.ただ,「エピジェネティックス」という単語を聞くたびに,懐疑心がわいてくるけどね.

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