アレックス・タバロック 「『自動車を作る小麦』に『鋼を作るビーバー』」(2018年2月4日)

●Alex Tabarrok, “How Do Beavers Make Steel?”(Marginal Revolution, February 4, 2018)


国際貿易に関するデイビッド・フリードマン(David Friedman)のものの見事な説明を一躍有名にしたのはスティーヴン・ランズバーグ(Steven Landsburg)の『The Armchair Economist』(邦訳『ランチタイムの経済学』)だ。「アイオワでの自動車の収穫」と題された章(pdf)での紹介がきっかけで一挙に有名になったのだ [1] 訳注;以下の引用は拙訳

アメリカでは「二通りのテクノロジー」を頼りにして自動車の生産が行われているというのがデイビッドの発見だ。二通りのテクノロジーとは? デトロイトで「製造する」というのがまず一つ。アイオワで「栽培する」というのがもう一つ。デトロイトで「製造する」という一番目のテクノロジーについては誰もが知るところなので説明は不要だろうが、アイオワで「栽培する」という二番目のテクノロジーについてはいくらか説明させてもらうとしよう。まずはじめにやるべきことは小麦の種を蒔くことだ。これが自動車の「原料」になる。それからしばらく小麦の成長を見守る。数ヶ月ほど経って小麦が実ったら収穫して船に乗せる。小麦を積んだその船は太平洋を西に向かって突き進む。数ヶ月もするとその船は「トヨタの車」を積んで戻ってくるというわけだ。

つい最近ロバート・アレン(Robert Allen)の『Global Economic History』(邦訳『なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか』)を読んで知ったのだが、どうやらデイビッド・フリードマンは300年以上も先を越されていたようだ。フランスの貿易商を相手にした毛皮貿易が隆盛を極めている最中にミクマク族の一介のインディアンが次のように語っているのだ [2] 訳注;以下の引用は拙訳

我らが兄弟たる「ビーバー」は万事をうまく運んでくれる。我々のためにやかんに斧、剣、ナイフを作ってくれるだけではない。地面を耕すという苦労をせずとも食べ物も飲み物も与えてくれるのだ。 [3] 訳注;フランスの貿易商に「ビーバーの毛皮」を売る(引き渡す)のと引き替えにやかんに斧、剣、ナイフ、飲食料を手に入れる、という意味。

References

References
1, 2 訳注;以下の引用は拙訳
3 訳注;フランスの貿易商に「ビーバーの毛皮」を売る(引き渡す)のと引き替えにやかんに斧、剣、ナイフ、飲食料を手に入れる、という意味。
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