アレックス・タバロック 「脳が発達途上にあるがゆえ?」(2005年2月9日)

●Alex Tabarrok, “Brain Immaturity”(Marginal Revolution, February 9, 2005)


身体的な能力に照らす限りだと、十代の若者には車の運転で敵(かな)いそうにないように思える。筋肉はしなやかだし、反射神経もいいし、五感も鋭いときている。しかしながら、十代の若者の死因の第一位は、自動車事故死だ。「なぜなんだろう?」と問わずにはいられないが、一部の研究者によると、その答えのヒントは青春期の脳に潜んでいるらしい。

アメリカ国立衛生研究所(NIH)が公にした研究によると、危険な行為に手を出さないように制御する役割を果たす脳の部位――前頭前皮質――は、25歳になるまで成長を続ける――25歳に達するまでは、未成熟な段階にある――可能性があるという。道交法をはじめとした様々な政策をめぐる論議に対して一石を投じる発見だと言える。

全文はこちら。「そんなの知ってたし!」って感はいくらかあるが、興味深い発見ではある。ところで、この種の研究に接するたびに気になっているのだが、研究結果の解釈の仕方にちょいとしたバイアスがあるんじゃなかろうかね? 「十代の若者がリスクをとりたがるのは、脳が未熟であるためです」ってかたちで結論付けられてばかりいるが、「加齢とともにつまらなくて退屈な(リスクをとろうとしない)人間になっていくのは、脳が委縮するためです」ってな結論はついぞ目にしたことがない。それはどうしてなんだろうね? 当の研究者が十代の若者じゃないから?

大学生を被験者としている実験経済学の一連の研究に対しても同じ疑問が湧いてきちゃうね。

情報を寄せてくれたCarl Closeに感謝。

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