スコット・サムナー 「見かけは変われど、本質は変わらず」(2022年2月26日)

●Scott Sumner, “Plus ça change . . .”(TheMoneyIllusion, February 26, 2022)


1946年発行のライフ誌に寄せられたジョセフ・ケネディ(Joseph Kennedy)の一文より。

抽象的なかたちで表現すれば、ロシアにとって国益にかなう政策は、他の国にとってのそれと何ら変わるところはない。それは何かというと、領土を保全し、領土の安全を確保することであり、国民の福祉を増進することだ。ロシアとしては、国益のためとあれば、この度の戦争〔第二次世界大戦〕の結果として手に入れた「威信」と「軍事力」を存分に活用する気でいるに違いない。そこから更(さら)に一歩踏み込んで、その他の大国が抱える弱みを見つけ次第そこを突いてくる可能性もある。なかなか正当化できそうにないと重々承知しながらも、「戦略的な安全性」を確保するために粘り強く奔走(ほんそう)する可能性があるのだ。ロシア(の上層部)自身によって強調されることはないが、ロシア(の上層部)にとって真の関心事の一つは、資本主義陣営との距離を保つ(資本主義の侵入を防ぐ)ことにあるのだ。

何度も繰り返し語っているが、ロシアによるウクライナへの侵攻は、NATO(北大西洋条約機構)の拡大によって招かれたわけじゃない。NATOはロシアにとって脅威じゃない、というのがプーチンの本音だ。プーチンによって語られる「NATOの脅威」というのは、大ロシアを再び作り上げるための口実であるに過ぎない。プーチンは、NATOを怖れてなどいない。プーチンが怖れているのは、「民主主義」だ。プーチンに宥和(ゆうわ)策で応じても増長させるだけなのだ。

(追記)今回引用したタイム誌の同じ号には、「『鉄のカーテン』がヨーロッパに降ろされた」というチャーチルの有名な発言も引用されている。

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