タイラー・コーエン「なんでアメリカのインフレ率はとびきり高いんだろう?」(2022年4月6日)

[Tyler Cowen, “Why is the U.S. inflation rate especially high?” Marginal Revolution, April 6, 2022]

しかし,2021年前半から,合衆国のインフレ率は他の先進諸国をますます上回るようになっていった.各種の推計によれば,パンデミックの深刻な経済的影響に対処すべく設計された財政支援策が一員となって,2021年末までにインフレ率が約 3パーセントポイント上昇し,他の先進諸国との相違が大きくなる結果となった可能性がある.

上記は,Òscar Jordà, Celeste Liu, Fernanda Nechio, & Fabián Rivera-Reyes が最近出したサンフランシスコ連銀の「経済レター」からの抜粋だ.

ほんのしばらく前に,民主党寄りの経済学者たちの圧倒的大多数が Twitter その他のいろんな場所で2兆ドルの追加刺激策を強く支持してたのを思い出す.あのキャンペーンでは,有権者から見てバイデン政権の政策を定義するのが2兆ドル刺激策だった.それに,これが間違った政策だって理由をすごく明快にラリー・サマーズが説明してたのに,ほとんど誰も耳を貸さなかったのも思い出す.こういう政策オプションを指して,ぼくは「進歩派のマタタビ」と呼んでる.進歩派のマタタビには,「刺激」「人々にお金を送る」「需要を喚起する」といった言葉が使われてる.どれも,あの頃に人気を博してたキャッチフレーズだ.とにかくいつでもみんなにお金を渡す選択肢を押し立てる,もっと広範な動きの一環だとこれは見られていた.

この状況は,近年でも屈指の経済政策の失敗に数えないといけない.この失敗が起きたことと,ぼくらの集団としての認識能力を改善するうえでこの失敗がもたらす含意とを,ぼくらはいまだに真剣に受け止めずにいる.

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