●Tyler Cowen, “How beautiful is mathematics?”(Marginal Revolution, February 14, 2014)
BBCのレポーターであるジェームズ・ギャラガー(James Gallagher)が興味深い調査結果を報じている。
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンを訪れた数学者の面々。そんな彼ら一人ひとりに脳スキャナーが装着されると、目の前に「醜い」(“ugly”)数式と、「美しい」(“beautiful”)数式が提示された。
「美しい」数式を目にすると、数学者たちの脳のある部位が活性化し出したという。その部位とは、アート(芸術作品)を鑑賞すると活性化することで知られている(感情に関わる)部位。
「美」というものには、神経生物学的な根拠が存在しているのかもしれない。件の研究を手掛けたチームはそのように語る。
しかしながら、「オイラーの等式」や「ピタゴラスの定理」の類が、モーツァルトやシェイクスピア、ゴッホらの最高傑作と並んで口に上ることは滅多にない。
詳しい調査結果は、Frontiers in Human Neuroscience誌に掲載されたばかりの論文にまとめられているが、15人の数学者の目の前に計60の公式(数式)が提示され、それぞれの公式をどう評価するかが尋ねられている。
個人的には「オイラーの等式」がお気に入りなのだが、調査の結果はというと・・・、
fMRIを使って15名の数学者たちの脳の画像をスキャンしたところ、その人物が美しいと評価した公式を目にしている最中に、感情に関わる脳の部位(内側眼窩前頭皮質)が活性化し出したという。それも、その部位が活性化する度合いは、目にしている公式の(美しさの)評価が高いほど、強かったというのだ。
・・・(省略)・・・
素人の目には、「オイラーの等式」にそれほど美を見出せないかもしれないが、数学者たちの間で最も美しい公式に選ばれたのが 「オイラーの等式」であった。
オー! 一方で・・・、
今回の調査で数学者たちに最も醜い公式と評価されたのは、シュリニヴァーサ・ラマヌジャン(Srinivasa Ramanujan)による無限級数の総和法と、リーマンの関数方程式(リーマンのゼータ関数)であった。
情報を寄せてくれたJoanna Syrdaに感謝。