●Tyler Cowen, “The economics of spam”(Marginal Revolution, November 15, 2008)
とある研究結果(pdf)によると、「26日間で送信されたスパムメールの数は、合計で3億5000万通。そのうちで売買が成立した(スパムメールで紹介されていた商品が売れた)のは、わずか28件」とのこと。「回収率」は0.00001%にも満たない [1] 訳注;別の表現をすると、売買が成立するのは1250万通に1件の割合ということになる。わけだが、それにもかかわらず、一日あたりの売上高は7000ドルに達するという。一年間の売上高だと、350万ドルに上る計算になる。
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●Fabio Rojas, “Spam-onomics” (Marginal Revolution, September 26, 2003)
ニューヨーク・タイムズ紙が読み応えのあるインタビューを掲載している。インタビューの相手は、元スパム業者。本人の言い分だと、「バルクメール」を送り付けるのを生業(なりわい)にしていたとのことだが、個人的に重要だと思ったポイントをいくつかまとめておこう。
- スパム業界は競争が激しくて、大して儲からないとのこと。スパムメールを10万通送り付ける「報酬」は300ドルで、100万通だと900ドルとのこと。競争が激しいので、報酬は今後さらに下がるだろうとのこと。
- スパム業者に宣伝を依頼してくる取引相手は、怪しいビジネスに手を染めている輩らしい。 生ぬるい法律なんて屁とも思わない連中だ。
- スパムFAXを送り付けてくる相手を罰金500ドル以下の少額訴訟で誰もが訴えられるようにしたところ、スパム行為が減った前例があるという。スパム業者というのは薄利でどうにかやっている小物ばかりなので、少額の罰金であっても効き目がある。それに加えて、少額訴訟だと判決が下るまでに時間がかからないから、原告にとって負担が少ない。
スパムメールを減らす(スパム業者に立ち向かう)術として、議員の間で二通りの対策が取り沙汰されているという。①スパム業界の大物を告発して、高額の罰金を科す。②小物を少額訴訟で誰もが訴えられるようにする。どちらかというと、①に支持が集まっているようだ。FTC(連邦取引委員会)の委員の一人が語るには、「見せしめが必要」らしい。
結論:迷惑極まりない大量のスパムメールを送り付けてくる業者を撃退する効果的な手段があるにもかかわらず、その手段が法制化される見込みはなさそうだ [2] 訳注;スパム業者を撃退する(スパムメールを減らす)には、②の方が効果的なのに、①の線に沿って法整備が進められそう、という意味。。