●Tyler Cowen, “How to stay on the right career path”(Marginal Revolution, September 3, 2014)
「労働市場におけるコミットメントデバイス」とも言う。
(アメフトのプロリーグであるNFLのチームの一つである)セントルイス・ラムズの選手登録枠(ロースター)の一番最後(53人目)の枠に新人のイーサン・ウェストブルックス(Ethan Westbrooks)が滑り込むことになった。マイケル・サム(Michael Sam)に競り勝ってディフェンスラインのポジションを手に入れた格好になる。
ウェストブルックスの経歴は注目に値する。今から3年前の2011年当時、サクラメント・シティ・カレッジでアメフト選手としてプレーしながらあの「トイザらス」でも働いていたというのだ。そして今年(2014年)に入ってNFLの門をくぐることになったというわけだ。ウェストブルックス本人の言によると、今回めでたく一番最後の選手登録枠に滑り込むことができたのは「やる気を鼓舞する一風変わったツール」のおかげでもあるとのこと。「顔に入れたタトゥー」のおかげでもあるというのだ。
ウェストブルックスが目の下にタトゥーを入れたのは2011年のことだが、もう二度と普通の仕事なんかしたくないと思ってそうしたとESPN社のリポーターであるニック・ワゴナー(Nick Wagoner)の取材に対して答えている。「顔にタトゥーの入った求職者」にならないためにはNFLで結果を残す(アメフトのプロ選手として成功する)しかない〔そのように自分を追い込んだ〕、というわけだ。
記事の全文はこちら(ウェストブルックスの顔写真付き)。G. Patrick Lynch経由で知ったネタだ。
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●Tyler Cowen, “What does a tattoo signal?”(Marginal Revolution, September 3, 2014)
タトゥーが入っていると就職に不利に働くかどうかという話題については少し前に取り上げたばかりだが、さらにもう一歩踏み込んだ研究がお出ましだ。ウェストバージニア大学で博士号を取得したばかりのケイトリン・ハーガー(Kaitlyn Harger)女史の手になる論文がそれだ。ハーガーの論文ではフロリダ州の囚人のデータを対象に出所後の元囚人のその後が追われているが、ハーガーが手元に集めたデータは一味違っている。タトゥー入りの囚人とそうじゃない囚人とが区分けされているのだ。
どうやら多くの企業(雇い主)はタトゥーの入った求職者の採用には乗り気ではないようだ。例えば、アメリカ陸軍なんかも「ボディアート」(タトゥー)に関する内規を見直して禁止事項を増やしたばかりだ。ハーガーの論文によると、タトゥーの入った元囚人はタトゥーの入っていない元囚人よりも合法の職にありつくのが難しくて食い扶持(ぶち)を稼ぐために再び犯罪に手を染める傾向が高い――再犯率が高い――との結果が示唆されている。
ハーガーの論文では次のような注目すべき結果が報告されている。囚人全体の平均だと出所してから5000日(およそ14年)もすると再び刑務所に逆戻りしてくる傾向にあるが、タトゥー入りの囚人全体の平均だとその半分の日数(およそ7年)で刑務所に逆戻りしてくる傾向にあるというのだ。
Free Exchangeブログより。全文はこちら。