タイラー・コーエン 「車の数が増えるのと引き換えに、交通事故で亡くなった子供の数は・・・」(2014年5月28日)/「移動中(旅行中)の死亡リスクについていくつか」(2007年1月22日)

●Tyler Cowen, “More cars, fewer pedestrian deaths”(Marginal Revolution, May 28, 2014)


マイケル・ブラストランド(Michael Blastland)&デイヴィッド・シュピーゲルハルター(David Spiegelhalter)の二人の共著である『The Norm Chronicles: Stories and Numbers About Danger』(邦訳『もうダメかも――死ぬ確率の統計学』)のペーパーバック版が出版されたばかりだ。「リスク」という論じ尽くされた感のある話題がテーマになっているが、新鮮味のあるネタにも目配りされている。その一例を以下に引用しておこう。

1951年時点の英国では、国内の自動車の登録台数は400万台を下回っていたが、あれやこれやの縛りから自由な状態で車を走らせることができた。国道に路面標示もなければ、トラフィック・カーミング(車の速度を意図的に落とさせる仕組み)もなかった。車両の安全証明書も必要なければ、車に衝撃吸収バンパーも装着されていなかった。そんな中、子供たちは路上で遊んでいたし、学校に徒歩で通っていた。そんなこんなで、1951年時点の英国では、路上での交通事故で亡くなった15歳未満の子供の数は907人に上った(そのうち歩行中の事故で亡くなったのは707人、自転車乗用中の事故で亡くなったのは130人)。とは言え、その数は戦前(第二次世界大戦が始まるよりも前)と比べると減ってはいる。戦前は、1年あたり1,400人に上る子供(15歳未満の子供)が路上での交通事故で亡くなっていたのだ。

路上での交通事故で亡くなった15歳未満の子供の数は、時代が下るにつれて着実に減っている。その数は、1995年時点では533人、2008年時点では124人、2009年時点では81人、2010年時点では55人。事故一件一件は家族にとって悲劇であることに変わりはないが、路上での交通事故で亡くなった15歳未満の子供の数は60年ちょっとの間に何と90%も減っているのだ。ちなみに、この間に自動車の登録台数はどのくらいになっているかというと、8倍以上の3,400万台にまで増えている。

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●Tyler Cowen, “Facts about travel risk”(Marginal Revolution, January 22, 2007)


・・・(略)・・・米国内で80歳の女性ドライバーが車を運転していて死亡するリスクは、18歳の男性ドライバーが車を運転していて死亡するリスクと同じくらいであり、どちらにしてもバイク乗りが運転中に死亡するリスクよりも低い(車を運転するよりもバイクを運転する方が命を危険にさらす可能性が高い)。さらには、直感に反するように思えるかもしれないが、冬場に山登りして死亡するリスクよりも、夏場に山登りして死亡するリスクの方が高い。・・・(略)・・・16歳から20歳までの若者が誰か他の人が運転する車に乗っていて死亡するリスクを走行距離1億マイルあたりの死者数で測ると、午前8時から正午までの時間帯だとその数は13.86人。20時(午後8時)から24時(真夜中の12時)までの時間帯だとその数は30.51人で、死亡リスクは倍以上になる。

全文はこちらだが、移動中(旅行中)の死亡リスクを自力で計算することを可能にするウェブサイトが紹介されている。

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