ダイアン・コイル 「大学入学を控えた我が子にお薦めの経済学本 ~経済学素人から経済学狂へ~」(2009年8月20日)

●Diane Coyle, “Pre-university reading lists”(The Enlightened Economist, August 20, 2009)


本日は、イギリスのAレベル課程で学ぶ高校生諸君(我が息子もそのうちの一人)が希望する大学に入学できるかどうか(入学資格を得られるかどうか)の判定が下された一日だった。我が息子(天才坊や)はというと、まんまとやりおおせたようだ。希望する進学先であるジーザス・カレッジ(オックスフォード大学)のチューターの先生から、少し前にリーディングリストを渡されていたのだが、早速そのリストの点検を始める興奮ぶりときている。

息子が渡されたリストの中の経済学の項目に目をやると、ベッグ&フィッシャー&ドーンブッシュの教科書が一番先頭を飾っている。他には、数学(経済数学)の教科書が二冊。アンソーニ&ビッグスの『Mathematics for Economics and Finance』に、イアン・ジャックスの『Mathematics for Economics and Business』。経済学を幅広い視野から学ぶための読み物として、ウィリアム・バーバーの『History of Economic Thought』(邦訳『経済思想史入門』)と、クリス・ヒューンの『Real World Economics』も、名を連ねている。

大学で経済学を学ぶ前準備にもってこいの本。そんな本が、私の蔵書の中なり、我が家の外なりに、見つかるだろうか? そんな疑問が頭をよぎる。ちなみに、我が息子は、ティム・ハーフォードの『Undercover Economist』(邦訳『まっとうな経済学』)は読み終えている。もちろん、『Freakonomics』(邦訳『ヤバい経済学』)もだ(拙著の『Sex, Drugs and Economics』や『The Soulful Science』(邦訳『ソウルフルな経済学』)はどうかというと、鼻であしらわれる始末)。バーバー本の代わりに、(ハイルブローナーの)『The Worldy Philosophers』(邦訳『入門経済思想史:世俗の思想家たち』)というのも悪くなかろうね。

私が30ウン年前にオックスフォード大学に入学する前に渡されたリーディングリストには、ロイ・ハロッドの手になるケインズの伝記(邦訳『ケインズ伝』)が名を連ねていたと記憶している。今やスキデルスキーのケインズ伝に取って代わられた感があるが、残念ながら、我が家にあるスキデルスキーのケインズ伝は3巻本のバージョンときている。18歳児には近寄りがたい代物間違い無しだ。しかしながら、スキデルスキーのケインズ伝は、1冊にまとめられたバージョンもある。そっちなら悪くないだろう。多くの学者の間で味気ない文章が幅を利かせている昨今だが、そんな風潮に流されないための予防接種的な意味で、ケインズの手になるエッセイもいくつかリストに加えたいところ。例えば、『Essays in Persuasion』(邦訳『説得論集』)とか。

やり過ぎは禁物。・・・ではあるが、高校で経済学を学んでこなかった経済学素人(である我が息子)を経済学狂に変えるには、どんな本を薦めたらいいだろうか? 何かいい本ある?

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