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ブランチャード & Pisani-Ferry 「もしコロナが続けば:その潜在的な経済への影響を探る」 (2021年3月12日)

訳者(サボりがち):原文が出てからもう2ヶ月以上経ってしまい、少なくなくともアメリカではワクチン接種が進んでもう少しでポスト・コロナ時代到来!というような感じにはなってきており、この翻訳のポストが遅すぎるだろと訳者自身感じるところではあるのですが、世界的にはまだまだそういう状況ではないですし(残念ながら日本も含めて)、アメリカだって安心しきってたらどうなるか分かりません。そもそもコロナ以外の疫病の流行もあり得るわけですし。なのでまだまだ(残念ながら)意味のある投稿と信じポストします。

 

我々著者は、Michael Kisterにはその優れたリサーチアシスタンスについて、Nicolas WoloszkoにはOECDデータに関するガイダンスについて、Laurence Boone、Philippe Martin、Guntram Wolff、およびPIIEの同僚には初期ドラフトへのコメントと批判について感謝する。

 

2020年初頭にCOVID-19の危機が広がった時、その影響を予測しようとした多くの経済学者達は、一度のショックの後にはいずれ、元々の状態に近いものが戻ってくると予想していた。その後、ワクチンの製造にかかる時間や経済的な打撃の程度については見解が分かれるようにはなったものの、この数カ月前までは、公衆衛生関係者以外でパンデミックが大規模に持続する可能性を真剣に考える人はほとんどいなかった。

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ポール・クルーグマン「マンデルとマンデル」(2021年4月12日)

概要:ノーベル賞受賞者のロバート・マンデルが2021年4月4日に亡くなった。このコラムではポール・クルーグマンが、現代の国際マクロ経済学においてもまだその基礎であり続けているマンデルの初期の画期的モデルから、学者の間で物議をより醸したが影響はより小さかった後期の見解まで、経済思想と政策に関するマンデルの貢献の変遷を説明する。またクルーグマンは、ケインジアンの分析を開放経済に持ち込み、そして通貨圏を作る際の困難なトレードオフに光を当てたマンデルが、サプライサイド経済学とユーロの両方の生みの親とみなされるようになったことについても一つの説明を提供してくれている。

(訳者:原題は The Mundell Difference。何かにかけて初期と後期のマンデルの違いに触れたタイトルだと思いますが、その何かが何なのか分からないので上記のタイトルにしました。)

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Björkegren, Lindahl, Palme & Simeonova なぜ教育のある親の子供達は健康なのか:環境要素と遺伝要素 (2021年3月11日)

VoxEUのコラムの翻訳です。

裕福な家庭の子供達は貧しい子供達よりも健康的である事がおおいことはよく知られている。しかしそういった健康状態の原因が遺伝的なものか環境的なものなのかを区別するのは依然として困難だ。我々はスウェーデンの子供達についての大規模なデータを用いて、遺伝上の親に育てられた子供達と養子となったものたちを比較し、両親の教育水準と子供達の長期的な健康状態との間のつながりは、認知・非認知スキルの形成から健康に関連する生活習慣といった媒介要因によるものである事、そして主たる要因は子供達の人的資本への投資である事を発見した。

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ファーマン&パウエル 「合衆国の失業率、いまだ高止まり中」(2021年3月5日)

(訳者:アメリカの景気回復が急速にすすむ、あるいは進んでいきそうに見える現在、今後の物価水準や金利の変化を考える上で今のアメリカの供給余力を見ることは重要になりそうかなとおもい、PIIEにあった失業についての記事を訳してみました)

ジェーソン・ファーマン (PIIE)

ウィルソン・パウエル3世 (ハーヴァード・ケネディースクール)

原文

2021年2月、雇用者が37万9000人分の職を追加し、労働市場は改善した。これで経済はパンデミック以前のトレンドを1190万人分下回るだけとなった。同時に、失業率は6.2%に低下した。このパンデミックの間、公式の失業率は分類のミスと労働力からの何百万人もの人々の異常なほど大規模な離脱によって低く抑えられてきた。2月の失業率についての我々によるよりリアルな推定値は8.2%となっている。これは労働参加率の異常に大きな減少と人口動態の変化を調整したコンセプトによるものであり、2007-09年の金融危機では最高で10.0%に達した公式失業率に歴史的に比較可能となるように設計されている。また別のコンセプトであり、ジェイ・パウエル米連邦準備制度理事会議長とジャネット・イエレン財務長官が引用している固定参加率失業率は9.5%となっている。このコンセプトは金融危機のピークで11.8%となっていた。

 

よりリアルな失業率は2月に少し低下したが、それでもまだ高止まりしている

公式の失業率は2月に6.2%となり、1月の6.3%からわずかに低下した。このコンセプトは平時にはうまく機能するが、パンデミックの状況下においてはいくつかの欠陥がある。この特殊な状況に対応するために6月以降、図1に表されている我々が「リアルな失業率」と呼ぶ失業率を毎月更新しその情報を公表し続けている。

 

図1 合衆国の失業率は2月にわずかに低下したが、公式失業率は過少な推計を続けている

ソース:Bureau of Labor Statistics via Macrobond; 著者の計算による。

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オリヴィエ・ブランチャード 「1.9兆ドル救済プランへの懸念を弁護する為に」(2021年2月18日)

(訳者:バイデン政権の1.9兆ドルにのぼるコロナ救済計画について、経済学者かつクリントン政権時代の財務長官でもあったサマーズがその計画にたいする懸念を表明するコラムを書いた事から、それを支持するブランチャード、批判するクルーグマンといったように民主党支持のリベラル派内でこの1.9兆ドルの計画についての論争が起こっています。これはブランチャードによるなぜ懸念するのかについての記事です。ちなみに訳したのは別にブランチャードを支持しているからではなく、論争当事者の声を紹介したかったからです。)

In defense of Concerns over the $1.9 Trillion relief plan

弱者保護と景気刺激策で「大胆に行く」必要性についてジャネット・イエレン財務長官と同意するものの、バイデン政権の1.9兆ドルのコロナウイルス救済計画の大きさについては懸念をもつ経済学者(私を含む)は、景気の過熱とインフレを過度に懸念しているという批判をうけており、健全な議論が噴出している。このブログ記事ではこの議論における3つの主要な問題を取り上げ、そしてなぜ私が懸念しているのかを説明していく:まず第一は、産出量ギャップの規模について、つまり経済の実際の生産と潜在的な生産のギャップについて;第二は、乗数の規模について、つまり景気刺激策の想定されうる効果について;そして第三が、景気加熱した経済がどれほどのインフレを生み出すのかについてである。

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Margalit & Shayo 「金融市場は社会的価値観と政治的見解をどう変化させるのか」2021年1月31日

[追記:opitical_frogさんのからのアドバイスを受けて一部訳を変更しました。あと、タイトルもすこし変更。]

Yotam Margalit, Moses Shayo

2021年1月31日 原文

概要:

市場が参加者の価値観や政治的選好に与える影響は長い間論争の的となってきた。このコラムでは、金融市場への参加の効果を評価するために大規模なフィールド実験を用いた。英国全土のサンプルからなる参加者へ、6週間の間に株式や非金融資産に投資できるある程度の金額が無作為に与えられた。その結果は株式への投資が、個人の責任や成果、経済的成功における運の役割などの問題を含めた社会や経済に対する右傾化した見方につながることを示している。また市場へ友好的な政策や規制緩和への支持も高まっていた。

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ノア・スミス「政府負債の危険なんて、誰もわかっちゃいない」(2021年1月22日)

(ツイッター上でのアドバイスを受けて一部訳を変更しました)

たぶん、経済学者はこの面白そうな問題を考えるべきなんだろう。

Noah Smith
No one knows how much the government can borrow

マクロ経済学で最も重要な疑問の1つ、それは変な話だけど経済学者が研究しない事を選んでいる疑問だ。その疑問とは、「政府はどれだけ安全に借りることができるか」。

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エグザビア・ヴァイヴス 「スーパースター企業の登場:マクロ経済学において寡占を真剣に考える」(2021年1月20日)

(訳者注:コメントでの指摘を受けて、タイポを修正しました。)

Xavier Vives 2021年1月20日

Rise of the Superstar firms: Taking oligopoly seriously in macroeconomics

ビッグテック、そしてその他の「スーパースター企業」の支配によって、市場支配力が研究の分野においてもだけでなく、政治家達の問題としても戻ってきた。しかし、寡占市場はマクロ経済学や貿易モデルに導入されてはいるものの、それは主に産業分野の大きな「連続体」の中において、一企業が自身の分野においては市場支配力を持つが経済全体には影響を及ぼさないという設定によってである。このコラムは寡占がマクロ経済学のツールボックスに完全に組み込まれて然るべき時が来ていることを主張する。

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脱税と不平等

Annette Alstadsæter、Norwegian University of Life Sciences経済学ビジネス学部教授

Niels Johannesen、コペンハーゲン大学経済学教授

Gabriel Zucman、カリフォルニア大学バークレー校助教授

2018年5月9日

VoxEU

概要:税金の記録は社会の中の富と所得の集中を測る為によく利用される。しかしながら、もし金持ちが貧乏人よりも税金逃れをするならば、税の記録は不平等を過小評価することになる。このコラムはスカンジナビアを例として、脱税が富とともにどう変化するかを明らかにする:スカンジナビアのトップ0.01%の金持ち家計は資産や投資所得を国外に隠すことで払うべき税金の約25%を脱税している。そういった非常な金持ちがこういった事を出来るのは、彼らが資産秘匿サービスへのアクセスをもっているという単純な理由による。トップ層の脱税を減らすには、そういったサービスの供給を減少させる事が肝心である。

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グローバライゼーション、政府の人気、そして大いなるスキル・デバイド

Cevat Giray Aksoy、欧州復興開発銀行プリンシパルエコノミスト、IZA & LSE リサーチフェロー

Sergei Guriev、欧州復興開発銀行チーフエコノミスト、パリ政治学院経済学教授(休暇中)CEPRリサーチフェロー

Daniel Treisman、UCLA政治学教授

VoxEU、2018年5月8日

概要:グローバライゼーションに対する態度が、伝統的な左-右の分裂と並んで、あるいはそれにも関わらず、政治的連帯の新しい次元として登場してきている。このコラムでは過去10年に渡っての118カ国45万人近くをカバーするデータを使い、スキルの高い人々はスキル集約財の輸出が増えると政府をより支持するが、スキル集約財の輸入が増えると支持が低下する事、そして更に一般的に、だが一般通念とは違って、低スキル労働者は輸入に反対したり、市場保護に失敗したリーダーを批判したりはしない事を示す。

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