Paul Krugman, “Those French Job Creators,” Krugman & Co., May 30, 2014.
[“Cheese-eating Job Creators,” May 21, 2014.]
フランス版「雇用創出者」さま
by ポール・クルーグマン
このところ,ヨーロッパ経済の実績をみんなして責め立てている.そうするだけの理由はある.ただ,いまぼくらが目の当たりにしてるのはダメなマクロ経済政策であって,この政策をもたらしたのは時期尚早な通貨統合と緊縮一本槍バカだ.いまの話は,旧来のヨーロッパ叩きとは大きく異なる.かつてのヨーロッパ叩きでは,ヨーロッパの「動脈硬化」が主に取りざたされていた――いきすぎた福祉国家によって引き起こされたとされる永続的な低い就業率が問題になっていた.
さて,ジョン・シュミットやディーン・ベイカーみたいな経済学者たちは,ずっと昔にこう指摘している――「そんな筋書きは有効期限切れだ」.かつては,ヨーロッパ,とくにフランスを眺めてみると,たしかに人々はアメリカよりも早くに引退していたし,働く若者はアメリカより少なかった――ひとつには,大学に通っている間は働かなくてすんでいたからでもある.でも,経済危機が起こる前夜には,主要労働人口の就業率は〔アメリカとフランスで〕同じ水準にそろっていた.
実は,ここしばらくデータから目を離していたんだけど,現状はなかなかにビックリなものになってる.グラフを見てみよう:
1990年代後半から,立場は逆になっている:アメリカよりもフランスの方が,労働年齢人口が仕事に就いている率が高くなってるんだ.
なんとも奇妙なことに,たえずフランス経済の実績をあしざまに言ってる人たちの口からこの事実が出てくることはまったくないんだよね.
© The New York Times News Service