Paul Krugman, “Don’t Prosper and Die Early,” Krugman & Co., March 20, 2014. [“Don’t Prosper and Die Early,” The Conscience of a Liberal, March 16, 2014.]
栄えるな,早めに死ね
by ポール・クルーグマン
今月はじめに『ニューヨークタイムズ』に載ったアニー・ロウリー記者の記事は読んでよかった.持つ者と持たざる者で平均寿命の差が大きくなっている状況を伝えている(ここで読める:LINK).
ただ,多くの読者にこれが初耳に思われているばかりか,政策担当者や評論家にもそう思われているらしいのが,なんと言うか,いらだたしい.多くの経済学者は,長年にわたってこの点を広く伝えようとつとめてきた――人々が社会保障とメディケアの受給開始年齢を引き上げようと求めるとき,その人たちが言ってることは基本的に「企業弁護士〔みたいな高額所得者〕が長生きするようになってるから,清掃員〔みたいな低所得者〕はずっと働き続けなくちゃいけない」ってことだよと指摘するのにつとめてきた.でも,これが一向に理解されないらしい.
もしかすると,この記事でそれも変わるかもしれない.でも,ぼくの予測では,そのうちすぐに,お利口ってことになってる連中が「アメリカでは,平均寿命が長くなっておりますので,我々は退職年齢を67歳まで引き上げる必要があります」とかまた言い出すのを耳にするだろうね.そんな風に言う奴は,(a) 労働者の半数で,平均寿命はたいして伸びていないし,(b) すでに退職年齢は67歳まで引き上げ済みだってことを知らないでいるはずだ.
© The New York Times News Service