マーク・ソーマ 「『福祉政策は貧困層を堕落させるという俗説』」 (2015年10月20日)

Mark Thoma, The Myth of Welfare’s Corrupting Influence on the Poor’, (Economist’s View, October 20, 2015)


福祉政策は貧困層を堕落させるものであるという俗説

福祉政策が人間の行動に与える影響についての誤解を解こうというEduardo Porterの試み:

福祉政策は貧困層を堕落させるものであるという俗説: … これ程まで深く、アメリカ国民一般のイマジネーションに根付いた観念は、この、貧しい人々に対する政府援助が不品行を助長するだけであるという確信を措いて他にそうは無いだろう。

本命題は特に保守陣営側から愛好されている… しかしニューディール政策の父であるあのフランクリン・デラノ・ルーズベルトでさえ福祉政策を 「一種催眠的な、隠微な、人間精神の破壊者」 と曾て呼んだ事があった。また 「我々の知る様な福祉政策」 に終止符を打ったのも、民主党員である、ビル・クリントン大統領その人だった。…

しかしながら、この見解の抱える誤謬は、看過し得る限度を超えている。世界随一の富裕国を初め、世界中の諸最貧困地帯に至るまで、各地での実際の経験が示唆しているのは、貧困層にとって金銭補助が極めて大きな助力と成り得るものである事だ。そしてこういった人々を、曾てロナルド・レーガン大統領が印象的に命名したところの 『依存という蜘蛛の巣』 – これは、貧困層をして泳ぐか沈むかの選択を強いるものとしても知られているのだが – から解き放っても、それで以て万事足れりとはいかないのである。…

先週Abhijit Banerjee教授が … 3人の同僚と共同で発表した論文では、メキシコ、モロッコ、ホンジュラス、ニカラグア、フィリピン及びインドネシアで実施された7つの現金給付プログラムの効果が仔細に評価査定されている。本論文によれば、「現金給付システムが労働を阻害する旨を示す画一的な検証結果は一切」 発見できなかったという。…

それにもかかわらずBanerjee教授は、多くの国で 「我々が遭遇したのは、施しは人を怠惰にするという観念でした」 との観察を述べる事になった。

Banerjee教授は、世界中に広まっている福祉政策嫌悪の傾向は、実はアメリカ産の既製品の受け売りに過ぎないかも知れないと示唆する。「多くの政府が、合衆国の学位を保持した経済問題に関する助言者を抱えているが、こういった人員はまた同一のイデオロギーを共有する者でもあります」 と教授は云う。「イデオロギーというものは、事実よりもずっと広まっているのです」 。

当惑の念を禁じ得ない最たる理由は、合衆国が自ら経験したところである福祉政策とその 『改革』 が、実際のところ、福祉政策に突き付けられている罪状をまともに立証していない点に在る。…

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