Mark Thoma, ‘How Poverty Affects Children’s Brains ‘ (Economist’s View, October 03, 2015)
私達は 『幼い子供の柔軟な脳にこの様な貧困の災禍に対する免疫を付けさせるべく』 いっそうの取り組みが必要がある:
貧困の子供の脳への影響は如何なるものか — ワシントン・ポスト: … Nature Neuroscience誌に今年発表した或る研究で私と他数名の共著者が発見する事になったのは、世帯収入と子供の脳のサイズの間に有意な相関関係が存在するという事実だった – この相関は特に脳の表層部分である大脳皮質のサイズに著しく見られたのであるが、 … 認知作用に関わる負担の大きな仕事のほぼ全てを果たしているのが、まさにこの部分なのだ。さらに私達は、収入の増加が、最貧困層の子供の脳表層部分に見られた発達のうち最大のものと結びついていた事も発見している。 …
一部には、貧困状態に留まっている人がいるのは、彼らの能力が高収入を得ている人に劣るからであるとの考えを後押しするものとして本研究が利用されてしまうのではないかとの危惧感を顕わにする者がいる。しかし神経科学者である私達の本研究結果に対する解釈は、そういった意見とは極めて異なっている。私達は、脳が人生早期の数年において一番柔軟である事を知っているからだ。 …
私達の (新たな) 臨床試験は、貧困削減が認知能力および脳の発達を促進するものであるか、するならばそれは如何なる過程をたどるものか、これらの点に関する強固な実証データを提供するべく構築されたものだ。しかし本研究の完了までに、最低5年は掛かる事が見込まれてている – 今日この日も貧困のなかで暮らしている幼い子供の事を考えれば、この年月はあまりに長すぎる。したがって私達は、幼い子供の柔軟な脳にこの様な貧困の災禍に対する免疫を付けさせる為の手助けとなるだろう政策の要求を、その日が来るまで待っているべきではないのである。 …