月: 2022年6月

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ハンス-ヨアキム・ボス他「ヒトラーのためのボーリング:極めて密な人間関係・熟議が、民主主義を崩壊させナチスの台頭を招いた可能性」(2013年8月5日)

ワイマール共和国の崩壊は、残忍なナチス政権を誕生させ、世界史の転換点となった。本論文では、ワイマール共和国での社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)に関する通説〔民主主義による個人主義と共同体の崩壊がナチスを誕生させた〕に反して、人々が深く繋がりあった社会が良くない結果を招く可能性について論じる。

マーク・コヤマ「歴史において起こらなかった出来事と、実際に起こった出来事を比較すること:E.H.カーらの歴史観は正しいのだろうか?」(2017年8月11日)

歴史家は、大抵の場合で、反実仮想(仮定の事実)の考察に懐疑的であるようだ。E.H.カーは「歴史家は、起こらなかった事実について推測を行ってはならない」と論じている(Carr, 1961, 127)。マイケル・オークショットは、反実仮想の推論を「史実の世界に科学を醜悪に埋め込む」ようなものだと表現した(Ferguson, 1999より引用)。

アダム・トゥーズ「チャートブック122:何がインフレを引き起こすのだろう?」(2022年5月17日)

物価の高騰が相変わらず新聞の見出しを賑わせている。物価高騰の影響を一番強く感じているのは、裕福でない人たちだ。生活費の危機が叫ばれ、公衆衛生にも影響を与えている。 一方、金融政策では、インフレの持続・加速への懸念が支配的な課題となっている。中央銀行は資産の買い入れを終了し、金利を引き上げている。 しかし、実際に何が現在のインフレを引き起こしているのだろうか? 大西洋の両岸では、アナリストたちが物価上昇の原因を突き止めようと躍起になっている。分析の結果は驚くべきものだ。