タイラー・コーエン 「ハロウィンの経済学」(2007年10月31日)

●Tyler Cowen, “The economics of Halloween”(Marginal Revolution, October 31, 2007)


ケビン・ハセット(Kevin Hassett)が次のような制度改革案を提案している:「ハロウィンの改革に向けて踏み出そうじゃないか。そのための最初のステップとしては、(家を訪れてくる)子供たちにキャンディではなくお金(現金)を渡す(プレゼントする)ようにすればいいだろう。そうすれば、子供たちは、ハロウィンが明けた次の日に(プレゼントされたお金を握り締めて)最寄りのスーパーマーケットに駆け込んで、数あるキャンディの中から自分好みのキャンディを手に入れる(買う)ことができる [1] … Continue reading。経済学的な観点からすると、この改革案には「A+」の評価が与えられることだろう」。

全文はこちら。ここでちょっと口を挟ませてもらいたいが、お金(現金)ではなくモノをプレゼントする方が時としてより効率的な結果がもたらされる場合があるのだ。このことは公共政策の分野でも当てはまる話で、現金給付よりも現物給付の方が効率的な場合があるのだ(例えば、「透析装置」を給付する代わりに、「透析装置を購入するために必要な現金」を給付するようにしたら、腎臓病を偽るケースが増えるかもしれない)。ハロウィンのケースで言うと、プレゼントとしてキャンディをあげる現行の方式は、a) 「トリック・オア・トリート」と唱えながら家々を訪ね歩く儀式に参加する集団を年齢がごく幼い子供たちに限定し [2] … Continue readingb) 家々を訪ね歩くのを良きところで切り上げさせる [3] … Continue reading、という機能を果たしているのだ。

(追記)こちらの論文で、公的な給付制度で(一見すると「現金給付」の形態をとったほうが望ましいように見えるにもかかわらず)「現物給付」の形態が多く見られる理由が探られている。

References

References
1 訳注;その一方で、訪れた先でキャンディを渡される場合は、そのキャンディが子供の好みに合わない可能性がある。ギフト(プレゼント)の送り手と受け手との間の行き違いに関しては、本サイトで訳出されている次のエントリーもあわせて参照されたい。 ●ティム・ハーフォード 「クリスマスにまつわるエトセトラ ~陰鬱な科学が送るアドバイス(その2)~」
2 訳注;ある程度年齢が高くなると、「キャンディなんか欲しくないやい!」と考えてこの儀式から足を洗うことになる。キャンディの代わりにお金がプレゼントされるようになると、ごく幼い子供たちだけではなく、青年なんかも(下手すれば大人も?)儀式に加わるようになり、大混雑するようになるかもしれない。
3 訳注;家々を回るにつれてキャンディが溜まり、「もういらないや」というところまで達すれば、そこで切り上げて「そろそろ帰宅しよう」ということになる(自分の好みに合わないキャンディばかり貰うので、途中で嫌気が差して帰宅するというケースもあるかもしれない)。その一方で、キャンディではなくお金がプレゼントされるようだと、家々への訪問はなかなか終わらない可能性がある。
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