●Tyler Cowen, “A life well-lived”(Marginal Revolution, November 15, 2013)
経済学者のアレクサンダー・モートン(Alexander L. Morton)の訃報記事から、少しばかり引用しておこう。
42歳を迎えたモートンは、経済学者としてのキャリアの階段を順調に登っている最中だった。ハーバード大学で経済学博士号を取得し、ハーバード・ビジネス・スクールで教鞭をとる日々。州際通商委員会(ICC)の政策分析局で事務局長を務め、四年の任期がそろそろ終わろうとしていた。
そんな順風満帆の中、モートンは、経済学者稼業から足を洗ったのだった。
不動産取引や資産運用を通じて、自分一人を養うには十分なだけの(生活に困らないだけの)蓄えができていた。経済学者を辞めてから亡くなるまでの28年間は、ほとんど毎日のように動いていた。世界のあちこちを旅して回ったのである。それも、多くの場合は、西洋からの旅行者があまり立ち入りそうにない旅路を通って。
もう一丁、引用しておこう。
モートンは、自分のことについてほとんど語っていない。経済学者としてのキャリアに終止符を打って、旅人として生きることに決めた理由となると、一度たりとも詳しく語ったことがない。しかしながら、モートンの実の妹が代わりに語ってくれたところによると、モートンは、前々から身を転じる心構えができており、そのために、貯蓄に励んでいたという。輸送部門における規制緩和絡みで自分に望み得ることはもう十分にやり遂げた、とも感じていたという。
このまま経済学者を続けても、「またこれかの連続」が待っているだけ。モートンはそのように語っていたという。
タバロックも、こちらのエントリー〔拙訳はこちら〕で、「もっと旅に出よう」と語っていたものだ。おそらく、モートンにも優れたランチ仲間がいたのだろう。