How to solve the problem of diving in soccer
Posted by Andrew Potter on June 22, 2018 | culture
サッカー・ワールドカップで、ダイビング(ないし「シミュレーション」)が、美しい試合に悪影響を与えているとの別の関心事が沸き立っている。4年ごとに、普段は競技に無関心なニワカサッカーファン達が熱狂し、そのニワカ達は突如皆して、世界最高のサッカー選手達の一角に多量のイカサマ師がいることに気づくのだ。
今回のワールド・カップもいざ滞りなく始まったのだが、1週間経過した後、突っ伏し倒れ、身悶え、苦悶、転げ回り、体のくねらせ、倒れ込む、といった騙すような選手の挙動によって試合が定期的に中断する恒例行事が起こった。これ受けて、我々は毎度の疑問が沸き立っている。「もしなんらかの対処があるならそれは実行可能だろうか?」と。
まず最初に、ダイビングは目新しいことではない。非常に長い間、試合の一部を司ってきている。 ウィキペディアにはあきれてしまうが、当たり前のようにこの件についての項目がある。
ところが、誰もがダイビングを悪いと思っているわけでもない。グローブ&メイル紙のテレビ評論家ジョン・ドイルは2大会前の記事で、ダイビングは完全に許された行為であり、ダイビングへの文句は、北米辺境民の「独断性、公平性の狭い解釈、スポーツマンシップ、マチョズム」といったこの教区の信仰フレーズに過ぎない、と断言している。
不幸なことに、選手の多くも〔このドイルの見解に〕賛成している。世界のベストプレイヤーの一部は、悪名高く、悪びれないダイバーだ。過去から今へと続くエース潜水夫リストには、アリエン・ロンッベン、ルイス・スアレス、クリスティアーノ・ロナウド、ユルゲン・クリスマンらが含まれている。もっともジョン・ドイルとは異なり、FIFAとUEFAは、ダイビングをいかさま行為の一種として扱うように強く要求している。なので1999年から両組織は、反ダイビング・ミッションに取り組んでいる。しかしながら、ほとんど成功していない。
最近のVoxのダイビングに関する新しい研究の論文が示しているように、ダイビングの問題は、ランダムに起こっていないことにある。非常に合理的な行為であることが研究者によって発見された。ダイビングは、全得点の1/4以上がセットプレイからなる総得点が低いスポーツにおいてメリットを最大限引き出すための、審判を標的にした戦略なのだ(今回のワールド・カップでも、ここまでのところ、全得点の半分以上がセットプレーとなっている。)
ダイビングを解決すべき問題とするなら、可能な対処法は何かあるだろうか? 別の見方をするなら、ダイビングを合理的な戦略にしてしまっている今のインセンティブ構造を変えることは可能なのだろうか?
2つの標準的な解決先が考案されている。1つ目は、セットプレイ(特にペナルティ・キック)の反則を取るのを今より厳しくすることだ。2つ目は、ダイビングで騙した選手に、イエローカードないし即刻退場のペナルティを課すことだ。1つ目の解決策は、試合のあり方を根本的に変えてしまうことになるかもしれない。よって、ホッケーでのゴールの大きさの変更や、バスケットボールでのゴールリングの高さを変更と同じ理由で反対されるかもしれない。
2つ目の選択肢に関しては、Voxの記事で指摘されているように、審判に多大なプレッシャーを背負わせてしまうのであまり良い手段ではない。「本当の負傷を無視したり、悪質なスライディングタックルを罰さない審判なんて審判なんかじゃない」と審判に批判の矛先が向かう可能性も生じてしまう。
個人的には、悪質な非接触ダイブを行った選手を退場させるのには賛成だ。しかも、プレイヤーがイカサマ行為を行ったかどうかの判別が難しい、との言説が広まっていることに少なからず驚いている。いかさまの判別は実際には難しくない。2009年の研究では、シミュレーション行為に4つの判別基準が発見されてる。「弾道学的連続性の欠如」(ダイブの方向や大きさと、自然な接触動作からの矛盾)や、「接触一貫性の欠如」(例えば:向こうずねを蹴られた選手が、自身の頭を抱える)などが含まされている。上記2つの判別基準は、プロサッカーの速いスピードでも、見抜くのは非常に容易だ。
しかしながら、最も常習的で、明らかな基準がある。それは、選手が頭部を後ろに傾け、胸を前方に押し出し、腕を上げ、地面から両足を離す為に両脚を膝から曲げた「矢を射る弓兵ポーズ」を取った場合だ。これは、躓いた反応としてあまりに不自然であり、このポーズを取った選手は誰であれ、ハッキリ接触でイカサマを働いている。本当にバランスを崩した人が、このようなやり方で反応することは絶対にありえない――肉体が〔このような反応を〕許容しないからだ。ただそれでも、審判はこのイカサマに何度も騙されている。ひょっとしたら、審判は著名な億万長者のアスリートを詐欺師だと告発するような人間になりたくないのかもしれない。
ビデオ・リプレイの使用は、この問題に対処可能な方法だ――ブラジルの現在のスター選手ネイマールは、コスタリカ戦でこざかしい芝居を行うことで、PKを獲得することに成功したが、その後にビデオ判定に基づいて無効となり無駄足となった。しかしながら、反則をビデオで判定、特にスローモーションで判定するのは、装置の本来の性質からは非常に問題ある対処法なのだ(これは別件として追加のエントリをアップする予定だ)
するとどんな対策を行うべきだろう?
まだ試みられていない1つの解決策がある。しかもこれは試合のあり方を変更する必要はないものだ。さらに好都合なことに、この解決策は誰かを嘘つきや詐欺師呼ばわりする必要がない。これはそういった〔ネガティブ呼ばわりの〕まさに正反対――ファウルを受けたと申告言動を行った選手を、最大限配慮して扱うやり方だ。
この解決策は以下のようなものだ。
もし選手が耐えがたい負傷を追ったかのような言動を行ったのなら、その時はその選手を重篤な負傷を追ったものとして扱い、機械的に「インジュリー・タイム・アウト(負傷による一定時間の退出)」を命じる。
もし選手が非常に激しい肘打ちや蹴りや躓きを受け、文字通り苦痛で転げ回っていたら、その時は選手の安全の為に無事かどうかの確認に時間を割く必要があることには依存はないだろう。この処置によって、退出した選手が所属するチームはフリーキックを得るもしれないが、そのチームは選手の再プレイまでの(例えば退出した選手がピッチサイドで5分待機する)コストを支払うことになる。
別の激しい接触によって2回目の退出となる選手は、復帰するには〔前回の退出と合わせて〕ピッチサイドで合計10分間の待機を考慮しなければならなくなる。もちろん、退出した選手は控えの選手との交代が可能だが、そのチームは選手交代枠を失うことになる。繰り返すが、この対策の導入は、詐欺を行ったとの理由で選手を非難するものではない――負傷の表明の額面通りに受け取るわけだ。
この対策は、本当に負傷している選手を罰してしまうリスクを冒してしまうかもしれない。ただ、シンプルな理由からそのリスクは否定できる:負荷が激しい競争的状況で激しく一時的にエキサイトしているアスリートは、文字通り痛みを感じないのだ。競争スポーツをプレイしたことがあったり、非常にアドレナリンが沸騰する活動(カヌーでの急流下り、スカイダイビング、軍事戦闘)に没頭したことがある経験がある人なら誰でも、活動中は痛みを感じないことを知っているはずだ。このような状況下の人は、筋肉を裂傷したり、靱帯を損壊したり、手足を傷つけてたり、深い切り傷を負ったり、銃創を受けたとしても――自覚すらないのだ。
なので、アスリート、特にワールド・カップの熱狂的な雰囲気の中でプレイしている選手が、敵選手とのわずかな接触を受けて苦痛から地面に横たわり文字通り身悶えしているのなら、2つの可能性しか存在しない:1つ目は、その選手が本当に非常に深刻な負傷を負っている可能性だ。この場合はドクターによる対処が必要となる。2つ目の可能性、それは選手がいかさまを行っている場合だ。上記の両ケースともに、ピッチサイドで5分浪費させれば、即解決だろう。
以上対策は一度実施されれば、、サッカーのダイビングをほぼ即座に終わらせることになるだろう。