●Tyler Cowen, “Who will fight?”(Marginal Revolution, January 27, 2022)
ウクライナの地理的な状況についてはとりあえず脇に置くとして、合計特殊出生率が人口置換水準〔人口が増えも減りもしないで一定に保たれる水準〕を下回る国なり地域なりが徹底抗戦を繰り広げた例となると、寡聞にして知らないということも付け加えておこう。大勢の我が子に煩(わずら)わされるのは勘弁(かんべん)っていう人間が、政治的な理想のために命をかける気になれるだろうか? アメリカがアフガニスタンとイラクに侵攻した時は激しい抵抗にあったが、当時のアフガニスタンの合計特殊出生率は7.4であり、当時のイラクの合計特殊出生率は4.7だった。 ・・・(略)・・・ウクライナの現在の合計特殊出生率は、1.2だ。我が子が平均して1人しかない国と、我が子が平均して3人以上いる国とでは、国全体の精神性に大きな違いがある――我が子が平均して6、7人いる国と比べると、なおさら違いは大きい――にもかかわらず、誰もその事実を気に留めようとしないのだ。
ロシアの合計特殊出生率は、ウクライナのそれを少々上回っている程度だが、ロシアには戦車もあるし、強力な空軍も控えている。 ゲリラ戦に乗り気なのは、命を犠牲にしても構わないという思いが強い側だ。歴史を振り返ると、新たに授かる命の多さ(合計特殊出生率の高さ)と、命を犠牲にしても構わないという思いの強さとの間には一貫したつながりがある。香港〔香港の合計特殊出生率は、およそ1〕での民主化デモが、中国当局による弾圧が強まるのに伴って、あっさりと鎮静化したのも、台湾〔台湾の合計特殊出生率は世界最低〕が万一攻め込まれても、白旗を上げて抗(あらが)おうとはしないだろうと予想されるのも、その表れ――合計特殊出生率が高いほど、命を犠牲にしても構わないという思い(徹底抗戦する意志)が強い、という傾向の表れ――なのだ。
・・・と語るのは、リチャード・ハナニア(Richard Hanania)。情報を寄せてくれた Zach Valenta に感謝。
面白い話だが前提となる香港や台湾の話が原理としても相関関係の証拠としても弱すぎる。