1916年のベストセラー本ランキングのトップテンは以下の通り。
- 『Seventeen』(邦訳『セブンティーン』) by ブース・ターキントン(Booth Tarkington)
- 『When a Man’s a Man』 (『男子起たば」』)by ハロルド・ベル・ライト(Harold Bell Wright)
- 『Just David』(邦訳『ぼく、デイヴィッド 』) by エリナー・H・ポーター(Eleanor H. Porter)
- 『Mr. Britling Sees It Through』(『ブリトリング氏、やり抜く』) by H・G・ウェルズ(H. G. Wells)
- 『Life and Gabriella』(『人生とガブリエラ』) by エレン・グラスゴー(Ellen Glasgow)
- 『The Real Adventure』(『正真正銘の冒険』) by ヘンリー・キッチェル・ウェブスター(Henry Kitchell Webster)
- 『Bars of Iron』 (『鉄の貫の木』)by エセル・M・デル(Ethel M. Dell)
- 『Nan of Music Mountain』(『音楽山のおばあちゃん』) by フランク・H・スピアマン(Frank H. Spearman)
- 『Dear Enemy』(邦訳『続あしながおじさん』) by ジーン・ウェブスター(Jean Webster)
- 『The Heart of Rachael』 (『レイチェルの心』)by キャスリーン・ノリス(Kathleen Norris)
さらに詳しくはこちらをご覧いただきたいが、非常に興味深いコメントが付け加えられている。このネタを提供してくれた Ted Gioia に感謝。
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今から80年前(の1929年)に、マンチェスター・ガーディアン紙(本紙の旧名)が読者投票を行った。「(100年後の)2029年になっても読まれ続けているであろうイギリス人作家は誰だと思いますか?」というのがその質問内容だ。
ジョージ・シマーズ(George Simmers)が自身のブログでその投票結果を皮肉を交えながら振り返っている。
2029年まであと20年しか残されていないが〔この記事が書かれたのは2009年〕、得票数でトップ5に食い込んだ面々の前途もこのまま安泰(あんたい)とは言えなそうだ。その5名とは、以下の通り。ジョン・ゴールズワージー(総獲得票数は1,180票)、H・G・ウェルズ(933票)、アーノルド・ベネット(654票)、ラドヤード・キップリング(455票)、ジェームス・マシュー・バリー(286票)。
ジェイムズ・ジョイスは? ヴァージニア・ウルフは? D・H・ローレンスは? ヘンリー・グリーンは? アイヴィ・コンプトン=バーネットは? アガサ・クリスティは? E・M・フォースターは? ジーン・リースは? これらの名立たる作家たちは、名前すら挙がっていないか、スズメの涙ほどの票しか集めていない(ジョイスが獲得した票数は、10票にも満たない。ちなみに、ジョイスと同数を獲得したのはマックス・ビアボーム)。
記事の全文はこちら。ゴールズワージーは個人的に好きな作家の一人だ。ウェルズもそうだ。ところで、件の読者投票では、アガサ・クリスティに一票も入っていないようだ。アガサ・クリスティと言えば、読者投票が行われた当時(1929年)に活躍していたイギリス人作家の中でもおそらく今でも一番読まれている作家だろうにね。
この話題は(いつもいい仕事をしている)Literary Saloon経由で知った。感謝する次第。
〔原文:“The top bestsellers of 1916”(Marginal Revolution, January 27, 2017)/“The test of time?”(Marginal Revolution, November 4, 2009)〕