タイラー・コーエン 「歩くならどの都市がお薦め?」(2012年6月7日)

ロンドン? パリ? ブエノスアイレス? あるいは・・・。
画像の出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/26414656

(イギリスの)ロンドン、(フランスの)パリ、(アルゼンチンの)ブエノスアイレスの三強というのが私の意見だ。ニューヨーク市は馴染みがありすぎて客観的な判断ができないので、除外するとしよう。

治安がそこそこ良くて安全というのは言わずもがなの前提として、以下の条件が判断基準になっている。

  1. インパクトがでかいのに、そこまで有名じゃない建築物に出くわせる:ロンドン、パリ、ブエノスアイレスのいずれもが高得点。
  2. 広い並木道と細い路地のバランスがちょうどいい:同上。
  3. 品揃えがいい書店やおいしいダークチョコレートを売っているお店に出くわせる:書店についてはロンドンの勝ち、ダークチョコレートについてはパリとブエノスアイレスの勝ち。
  4. タクシーが安くて便利。炭酸水を座って飲める場所がある:ブエノスアイレスの勝ち。
  5. 現地の見知らぬ人たちが気軽に話しかけてきてくれる:どこが一番かを決めるのは難しい。ニューヨーク市も入れていいなら、ニューヨーク市の圧勝だろう。
  6. 歴史を感じさせるプレートが戦略的にちょこちょこ使われている:ロンドンの勝ち。昨日もロンドンを歩いていて、「ここは、ジョージ・カニング元首相がお住まいになっていた家です」だとか「ここは、インドのクライヴ(ことロバート・クライヴ男爵)がお住まいになっていた家です」だとかって書かれたプレートを目にしたばかりだ。

ブエノスアイレスは、三つの都市の中で飛び抜けて暖かい都市だが、安全面に些(いささ)か問題があるのと、資産が没収されるおそれがあるのがマイナス点だ。あえて順位をつけるなら、ロンドンが総合的に一位だろうかね。本屋絡みでいうと、フランス語よりは英語の方が好きだからね。 パリは、「美」の平均レベルでいうと三つの都市の中で一位だが、驚きは少ない。屋外でピクニック気分で食事をするなら、パリにはそのための食料品店が(三つの都市の中で)断トツで揃っているが、安いレストランに出くわせるチャンスとなると、パリが(三つの都市の中で)最下位だ。(ドイツの)ベルリンは住むなら一番快適な都市だろうが、歩くには広がりがあり過ぎる。広い並木道が多すぎる。ベルリンは、タクシーに乗って見学するなら言うことない都市だろう。

歩く魅力が増している最中の都市:(トルコの)イスタンブール。ずっと前から素敵な都市だったのかもしれないが、ここにきてそのモダンさの魅力が高まってきているようだ。

歩く魅力が過小評価されている都市:(ロシアの)モスクワ、メキシコシティ、(カナダの)トロント、イングランド北部の一部の都市、(アメリカの)ロサンゼルス。

歩く魅力が過大評価されている都市:(ハンガリーの)ブダペスト、(ポーランドの)クラクフ、(ドイツの)ミュンヘン。

地下鉄で巡るなら言うことない都市:東京。

ロンドン、パリ、ブエノスアイレスに次ぐ都市(第四位の都市)をあえて選ぶなら、(スペインの)バルセロナ。


〔原文:“Which are the best walking cities?”(Marginal Revolution, June 7, 2012)〕

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