およそ人間にふりかかる災厄のなかでも最悪の部類といえば,子供を失ってしまうことだ.歴史を振り返ってみると,15歳になる前に半数近くの子供たちが世界中で亡くなっていた.この割合は19世紀以降に着実に下がり続けていき,国連の人口部による予測では,2023年には世界全体での子供の死亡率は記録的な低さに達し,15歳になる前に死亡する子供はわずか 3.6パーセントにすぎない. これは,人類史でもいちばん低い数字だ.とはいえ,3.6パーセントということは今年亡くなってしまった子供たちは約 490万人いたわけだが――しかし,2016年というごく最近の死亡数から100万人も減少している. あるいは,極貧を考えてみよう.極貧も,記録的な低率に達している.国連の予測によれば,極貧状態におかれた人たちは世界全体の人間の 8パーセントをわずかに超える程度となっている. こうした数字はどれもおおまかなものではある.それでも,毎日,約10万人もの人たちが極貧状態から抜け出していっているらしい――その人たちは清潔な水を利用しやすくなったり,自分の子供たちに食事や教育を与えやすくなったり,医薬品を買い求めやすくなっているのだ.
『ニューヨークタイムズ』コラムの全文はこちら.そうそう,いままさに酷い事態があれこれと進行中だってことをクリストフは否定していない.どうか,気分先行で物事を語る人たちに関わらないでほしい.
来るべき新年,おめでとう!
[Tyler Cowen, “Nicholas Kristof on good things in 2023,” Marginal Revolution, December 31, 2023]