●Tyler Cowen, “More specific foreign words for “rent-seeking””(Marginal Revolution, October 1, 2005)
他人から富を奪い取ること(他人からの富の移転)を目的として、(時間や労力、金銭等の)資源を投下することを「レントシーキング」(“rent-seeking”)と呼ぶ習わしになっているが、果たしてその呼び名でいいのだろうかとためらいを感じたことはないだろうか? ひとまずマーシャル(Alfred Marshall)のことは脇に置いとくとして、「レント」というのは、アパートの大家に支払う家賃のことじゃなかったか? 「レントシーキング」と「プロフィットシーキング」(profit-seeking;利潤追求)をごまかさずにきっちりと分けて定義できるだろうか?
「レントシーキング」に代わる呼び名はないものかと頭を捻っていると、外国で使われているヘンテコワードの一覧にたまたま出くわした。いくつか抜き出してみよう。
*グリラージン(Grilagem);ポルトガル語(ブラジルポルトガル語)
不動産登記証書を偽造して、不法に土地を取得する行為。文書を偽造する際にコオロギが利用されることから、この名が付いた [1] 訳注;コオロギは、ポルトガル語では「グリロ」(grilo) 。偽造したばかりの文書を生きたコオロギと一緒に引き出しの中にしまい、コオロギの汚物でその文書を古めかしい書類に見せかけるのである。
*ダナ(Dhurna);ヒンディー語
玄関の前に座り込んで、金品をゆする行為。金品が手に入るまで、玄関の前で断食したり、暴力で脅したりする。
*総会屋(Sokaiya);日本語
株主としての権利を濫用して、会社に金品の支払いを要求する人達。株主総会に乗り込んで騒動を起こすぞと脅したりする。
授業で「レントシーキング」をテーマにする機会があるようなら、「総会屋」について語って聞かせればいいだろう。
References
↑1 | 訳注;コオロギは、ポルトガル語では「グリロ」(grilo) |
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