アレックス・タバロック 「お金の洗浄」(2014年1月24日)

超臨界二酸化炭素を使えば、偽造防止のために費用をかけて施されている最先端のあれやこれや(ホログラムだとか)を無効化することなく、銀行券に付着している皮脂やら油やらその他の汚染物質(細菌だとか)やらをうまく取り除ける。
画像の出典:https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=1303000

Industrial&Engineering Chemistry Research誌に掲載されていて目を引かれた論文を紹介しておこう。

汚損して使えなくなった「不適格」な銀行券を置き換えるために、世界中で1500億枚近くの銀行券が毎年新たに刷られている。そのためにかかる費用は、1年あたりで100億ドルに迫ろうとしている。中央銀行がやらねばならないことは、他にもある。環境(自然環境)への影響に配慮しながら、15万トン近くにも及ぶ「不適格」な紙幣を処分せねばならないのだ。それも、毎年。オランダ銀行(DNB)による画期的な研究によって、銀行券が汚れる主たる原因が明らかになっている。人間の皮脂が表面に付着して、その皮脂が酸化するせいで黄ばむのである。超臨界二酸化炭素を使えば、偽造防止のために費用をかけて施されている最先端のあれやこれや(ホログラムだとか)を無効化することなく、銀行券――通常の紙幣だけでなく、ポリマー紙幣(プラスチック紙幣)も含む――に付着している皮脂やら油やらその他の汚染物質(細菌だとか)やらをうまく取り除けることを実験によって示すのが、本稿の目的である。超臨界二酸化炭素(温度:60℃/圧力:5000psi) を使って100枚の銀行券を洗浄したところ、洗浄前よりも重量が4%近く軽くなった。洗浄後に検査機――1秒間に10枚の銀行券の汚損具合を調べることができる検査機――で調べたところ、汚損度がかなり下がっている(汚れがかなり落ちている)ことが確認された。超臨界二酸化炭素を使って洗浄された銀行券は、汚れや破れのせいで「不適格」と検査機に判定されることが少なくなるのである。

Fast Company 経由で知ったネタだ。


〔原文:“Money Laundering”(Marginal Revolution, January 24, 2014)〕

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