ノア・スミスから日本の読者のみなさんへ

(日経BPより3月21日刊行)

新著『ウィーブが日本を救う』刊行を控えて、著者のノア・スミス氏からのメッセージを掲載します。


日本のみなさん、こんにちは! みなさんに本書を楽しんでいただけたら幸いです。さらに言えば、日本経済をよりよくしようと尽力しているすべての人々にとって、本書がささやかなかたちで役立ってくれることを願っています。

かつて日本に数年暮らし、いまも頻繁に日本を訪れている人物として、日本という国にもその社会にもたくさんの強みがあるのを知っています――安全で、清潔で、愉快で、便利で、他の多くの国々よりもはるかに安定しています。世界中の人たちが日本を愛好しているのには、もっともな理由があります。ただ、日本では、低成長・低生産性・低賃金といった経済面の問題が長らく続いています。そのため、日本で働く人々や日本に暮らす家庭には、重荷がのしかかり続けています。私としては、心から願わずにいられません――私がはじめて日本にやってきた2000年代中盤に発揮されていた安定成長と先進テクノロジー開発を、日本が再びとりもどせることを。

本書では、その経済復活をもたらすために日本が利用できる戦略をいくつか考察し、提案しています。本書の後半に収録されたブログ記事では、これまでに私が日本経済のさまざまな側面について考えたことを披露しています。他方、新規に書き下ろした前半では、日本が世界中で認められている魅力を活かして、世界経済の主導的地位をとりもどすのに役立てる方法を論じています。

私の考えでは、日本がそのさまざまな経済問題に対処する上で、特定タイプの外国投資を呼び込むことが助けになります。日本に必要なその外国投資とは、「グリーンフィールド外国直接投資 (FDI)」です――海外の企業に、工場やオフィスなど様々な設備を日本国内に建設してもらう必要があります。この種の投資によって、日本で働く人々に雇用がもたらされます。また、日本からの輸出を増やし、日本をグローバル・サプライチェーンにいっそう深く接続することにもなります。さらに、外国のさまざまなテクノロジーの日本流入も促進され、日本がテクノロジーの最先端に返り咲く助けになるはずです。

幸いにも、世界中の多くの人々が、喜んで日本に暮らして日本で働きたいと思っています――台湾の TSMC 従業員たちから、アメリカのソフトウェア起業家たちまで、誰もがそう思っています。日本には、世界中のものすごい数の人たちの心を虜にする文化があります。とりわけ、ハイテク産業ではその傾向が顕著です。しかも、日本各地には、東京をはじめとして、世界屈指の見事な都市があります。もし、日本の政府と企業がみずから外国のハイテク企業や起業家たちに手を差し伸べて、日本にやってくるよう奨励すれば、多くがそうするでしょう――そうなれば、日本全体がその恩恵を受けられます。

日本経済が再び咲き誇る一助にこのアイディアがなることを、心から願います。

それでは,本書をお楽しみください!

2025年3月
ノア・スミス


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