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タイラー・コーエン「アートコレクションの現在」(2017年5月23日)

Tyler Cowen, “Art Collection Today“(Marginal Revolution, May 23, 2017)

この本「Art Collection Today(アートコレクションの現在)」の著者はダグ・ウッダム氏で、副題は「芸術熱狂者すべてに市場の眼識を」である。

私はこの本のすべてが好きだ。著者は経済学博士号を取得していて、マッキンゼーのパートナーおよびクリスティーズの重要な役職に就いていたというところにも留意してもらいたい。 [Read more…]

タイラー・コーエン「絵画売却額における性別差」(2014年11月22日)

Tyler Cowen, “The art sale gender pay gap“(Marginal Revolution, November 22, 2014)

ジョージア・オキーフの絵画が4400万米ドルで落札され、女性画家としての最高額を更新した。それまではジョアン・ミッチェルの絵画で、1190万米ドルだった。フランシス・ベーコンは1億4240万米ドルで落札されたことがある。なので、

オキーフ絵画の高額売却にもかかわらず、男性画家と女性画家の価格差は大きいままだ。〔絵画における〕価格の男女差は、だいたい男性1ドルに対して女性84セントだ。絵画の「最高売却額の差」は現在は男性1ドルに対して女性31セントである。オキーフの絵画が落札されるまでは、男性1ドルに対して女性8セントであった。

オリバー・ローダー氏の記事から。

ポール・クルーグマン「失墜した経済思想」(2017年9月22日)

Paul Krugman, Discredited Ideas (Video VOX, 22 September 2017)

金融危機とその後の状況は私たちが思ったように理解不可能なものだったでしょうか。この動画では、ポール・クルーグマンは私たちが学ぶことのできる四つの見解をあげています。この動画は2017年9月22日に開催された「金融危機から10年」と題されたカンファレンスで録画されたものです。1  [Read more…]

  1. 訳注:本訳はクルーグマンが実際に話しているものをもとにしており、動画の英語字幕とは必ずしも一致しません。 []

タイラー・コーエン「写実的なアートを好むひとはBrexitを支持する」(2018年10月9日)

Tyler Cowen, “Preference for realistic art predicts support for Brexit“(Marginal Revolution, October 9, 2018)

これはノア・カール、リンジー・リチャード、アンソニー・ヒースのペーパーの概要の一部だ。

個人の性格特性の違いを対照として〔実験を行ったところ〕、 4枚の写実的な絵画すべてを好みだと回答した被験者は、ゼロまたはひとつしか好みではないと回答した被験者に比べて、Brexitを支持する確率が15-20%高い傾向にあることがわかった。この結果は、大卒者と高卒者の〔Brexit支持率の〕違いと類似しており1  、被験者の支持政党アイデンティティを対照にした場合では強固であった2

素晴らしいケヴィン・ルイスの記事から。

  1. 訳注:Brexit支持率は大卒者で低く、高卒者で高い []
  2. 訳注:Brexit支持率は英国保守党支持者で高く、労働党支持者で低い []

タイラー・コーエン「美術書ってどれくらい売れてる?」(2004年4月15日)

Tyler Cowen, “How well do art books sell?“(Marginal Revolution, April 15, 2004)

答えはシンプルだ。美術書はあまり売れない。写真集やハウツーものを除いて、2003年[アメリカで]最も売れた美術書はロス・キング著「システィナ礼拝堂とミケランジェロMichelangelo and the Pope’s Ceiling)」で、5万5693部売れた。アメリカでは一万部以上売れた美術書は、写真集とハウツーものを除いて、他に4冊しかなかった。驚くべき事実は、私が見る限り、ボーダーズやバーンズ&ノーブルといった一般的な大型書店で我々がどれだけたくさんの美術書を見つけることができるかだ。もちろん、そのうちの多くは出版社に返却されてしまうのだが。これら美術書は読者を、ウォルマートではなく本屋で、小説「ダヴィンチコード」を買うように導いていく。

アメリカに比べて人口が少ないにもかかわらず、イギリスでは美術書はもっと人気がある。イギリスで最も売れた美術書は、ティツィアーノのカタログだが、6万部を売り上げた。

これはウェブでは読めないが、The Art Newspaperの2004年4月号の記事「Big Market but Few Books Bought」から。

タイラー・コーエン「レオナルド・ダ・ヴィンチって過大評価されてるんじゃない?」(2017年10月18日)

Tyler Cowen, “Is Leonardo da Vinci overated?“(Marginal Revolution, October 18, 2017)

モナリザは史上最高の芸術品と言うわけではないし、絵描きとして、マンテーニャやピエロ・デラ・フランチェスカといった世間ではあまり知られていない画家に比べてレオナルドは大して上手いとは思えないし、ティツィアーノに比べたら随分下だ。ミケランジェロのダヴィデ像のような素晴らしく魅力的な芸術作品もないし、彼が受注した依頼品のあまりに多くは未完成のままか、若しくは描き始められさえもしなかった。彼の手稿は豊かな想像力を見せてくれるが、大動脈弁について以外に実用的な知識は大して含まれていないし、GDPを押し上げたわけでもなければ読む価値があるわけでもない。彼の科学のほとんどは、彼の時代を考慮しても、理論的に弱い。ミラノで宮廷インプレサリオ1 として働くには満足しすぎていたし、比較優位を踏まえたうえで自分の才能をどう生かすかまったくわからないというように見えた。

思いついたアイディアを記憶に残るようなスケッチに描き表すのが、レオナルドの最も卓越した才能であり、これについては彼に匹敵する者はいない。

それに加え、「ミラノの貴婦人の肖像」は、愛くるしささえも伴って、とても素晴らしく描けている。

レオナルド・ダ・ヴィンチ入門書として、ウォルター・アイザック氏の書籍をお勧めする。私のレオナルドについての意見は変わらないが。

  1. 訳注:現代で言うところのアートプロデューサー。中世イタリアでオペラなどの公演を運営する者の名称。レオナルド・ダ・ヴィンチはミラノ公爵に仕えていた時代に演劇や野外劇を手がけている。 []

タイラー・コーエン「シンフォニーオーケストラと産業革命」(2018年4月22日)

Tyler Cowen, “The symphony orchestra and the Industrial Revolution“(Marginal Revolution, April 22, 2018)

昨夜、モーツアルトの交響曲39番をコンサートで聴いた。そしてこれは人類最大の「技術的」偉業のひとつを目撃してもいるのだと、私は(もう一度)気付いた。この活動に注ぎ込まれているものを考えてみてほしい。ひとつひとつの楽器は最終的には完璧なまでに発展し、他の楽器と調和している。調律のシステムと音楽の基礎原理。音楽ホールの音響。紙の楽譜と記譜法。これらすべての機能は1710年から1920年といった中央および西ヨーロッパに出現した作曲タレント(才能)と非常によく連動している。18世紀半ばまでにはこのシステムの重要部分のほとんどはできあがっており、19世紀初期には概ね完成した。 [Read more…]

ジョセフ・ヒース「男の子差別文化」(2018年3月26日)

Joseph Heath, “How our culture treats boys” (In Due Course, 26 March 2018)

子供たちが少し大きくなったので、以前ほどThe Children’s Placeで買い物をしなくなった。だが先日そこで買い物をすることがあり、我々の文化が男の子たちに向けて発しているメッセージの類が気がかりになった。The Children’s Placeが何か知らないひと向けにいうと、それは洋服屋だ。ウェブページの表示はいつも同じ。ページは真ん中で分かれ、女の子用が片方に、男の子用がもう片方にある。これはその時々にどんなものが男の子用と女の子用それぞれに売られているか比較するのに、そしてどんな思い込みが性別に付随しているのか考えるのに、都合がよい。 [Read more…]

タイラー・コーエン「古いオーケストラ向けコンサートホールのほうが音が良いのはなぜ?」(2015年12月4日)

Tyler Cowen, “Why older halls for symphony orchestras sound better than new ones?“(Marginal Revolution, December 4, 2015)

ヴィトルト・リプチンスキーによると、それは大きさと形の問題だという。ウィーン楽友協会(1870年建設)、コンセルトヘボウ(1888年建設)やボストンシンフォニーホール(1900年建設)といった古いコンサートホールは〔長方形の〕シューボックス型になっている。オーケストラはホールの先端に位置し、「音は(約18-24メートル離れた)平行な2枚の壁と天井で反響して聴衆に届く。聴衆は演奏家たちに比較的近いところにいるため、空間は視覚的にも聴覚的にも親密だ」。

収入のためにより多くの座席が必要となり、それがコンサートホールに座席数を最大で3000まで膨張させ、ホールが良い音を響かせるのをより難しくした。とりわけ「ベース音を壁で反響させる」ことが難しくなった。

更に、異なったホールは異なった「残響」時間があり、ゆえにホールが違うタイプの音楽に使われるほどホールのデザインは妥協を招くことになる。理論的には、グレツキとバッハの演奏には別々のホールがあるべきだ。なので、多目的ホールが理想的な音を作り出すのは稀だろう。

これは彼の新しい本 Mysteries of the Malls and Other Essys(188-192ページ)の中にすべて書かれている。

タイラー・コーエン「破産した美術館を救済する方法?」(2004年12月26日)

Tyler Cowen, “How to Save an Insolvent Art Museum?“(Marginal Revolution, December 26, 2004)

サザビーズのアメリカ絵画部門元部門長であるジェームズ・S・マロニー氏は、バーンズ財団を救済しフィラデルフィア郊外メリオンにコレクションを留める計画を裁判所に提出した。マロニー氏の計画は、個々の絵画の生涯不動産権を売るというものだ。各購入者は絵画価格の10%かそれ以上を支払い、購入者の存命期間中絵画を展示する権利を「所有」する。バーンズ財団は購入者の死亡時に絵画を買い戻す。収益は、2億米ドルほどの寄贈財産として使用されるという。

これはコレクションの「最も望ましい」作品100点を貸し出さなくてもすべて可能だろう。そしてもし美術館が個人より絵画に低いディスカウントレートを提供できるなら、この取引は経済的に筋が通る。しかし前例は過去に一件しかない(デンバー美術館)し、インフォームドオピニオンはこの提案が通らないだろうと予測している。それに人々が観るためでなく単に所有するために絵画を購入するなら、この計画は成立しない。

引用は2003年12月号のThe Art Newspaper (14ページ)から。