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アレックス・タバロック「EU のワクチン失策」(2021年3月19日)

[Alex Tabarrok, “The EU Vaccine Bungling,” Marginal Revolution, March 19, 2021]

EU ではワクチンの配布がめだって遅れている.西洋諸国の現状から期待される基準に照らしてもなお,遅い.ぼくと AHT チームは,各国政府への助言で,こう主張してきた――ワクチンは,世界でいちばんかんたんな費用便益テストですよ,だって十億 < 1兆なんですから.それなのに,製薬企業が EU に接種1回あたり数千ドルの値打ちがあるワクチンを接種1回あたりたった$5~$40で持ちかけたとき,EU は愚かにも「便乗値上げだ」と言い立てて,交渉に数週間を浪費した.EU諸国の政府が暗黙裏にヨーロッパ人の命の価値をどれくらいだと考えていることになるか,その計算は読者の練習問題にしておこう.
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アレックス・タバロック「7回目のあとで観客が素面に戻ると犯罪件数はどうなる?」(2021年3月14日)

[Alex Tabarrok, “Sobering Up After the Seventh Inning,” Marginal Revolution, March 14, 2021]

酔っ払いは犯罪を行いやすい.これをつきとめるべく,意外ではないけれど賢い方法を Klick & MacDonald の研究が用いている.野球スタジアムでは,7回裏でアルコール販売を終了する.でも,7回目から試合終了までの時間は試合ごとにちがっている.試合終了時には酔いが醒めている場合もあるし,そうでない場合もある.じゃあ,試合が長引いた場合と短時間で終わった場合のそれぞれで,どんなことが起きてるんだろう?
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アレックス・タバロック「蛟龍,中国の民営都市」(2021年3月9日)

[Alex Tabarrok, “Jiaolong, China’s Private City,” Marginal Revolution, March 9, 2021]

以前,Shruti Rajagopalan と共著でインドの民営都市グラガオンとジャムシェドプルについて書いた: “Lessons from Guragaon, India’s Private City.” そのとき発見したことの1つに,こういうのがあった――明らかに効率的な解決法だし交渉する時間だってあるにもかかわらず,取引コストのせいで民間の開発業者たちが下水や電気といったインフラに協調して取り組めなくなっている.そうした外部性を内部化するには,たとえばディズニーランドみたいなもっと大規模な購入が必要になるだろうと,そのときは示唆しておいた.
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アレックス・タバロック「2021年のうちにとにかくアメリカは集団免疫を達成する」(2021年1月20日)

[Alex Tabarrok, “We Will Get to Herd Immunity in 2021…One Way or Another,” Marginal Revolution, January 20, 2021]

7月には,ぜんぶ終わる.問題は,いまからそれまでにいったい何人が亡くなってしまうのか,ただそれだけだ.
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アレックス・タバロック「同じ量のワクチンで接種回数を2割増しにする魔法とサプライチェーン最適化」(2021年1月14日)

[Alex Tabarrok, “The Magical Extra Doses and Supply Chain Optimization,” Marginal Revolution, January 14, 2021]

ファイザー製ワクチンを使って薬剤師たちがワクチン接種をはじめたところ,標準的な 5回分小瓶から 6回~7回の投薬が可能なのを発見した.追加分はどこから生まれたんだろう? べつに,規定量を超える量が瓶につめられていたわけじゃない.小瓶には,標準的な注射器を使ったらきっかり5回分になる量しか入っていない.ところが,ワクチン接種会場によっては,死容積が少ない注射器が利用できたところがあった.「死容積が少ない」とは,注射が終わったときに吸引具と注射針のあいだに残るワクチンが少なくてすむ,ということだ.このため,死容積が少ない注射器を使うと,注射器に残ったまま無駄になるワクチンが減って,同じ瓶からより多くの人にワクチン接種できるようになるわけだ.
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アレックス・タバロック「トランプ関税を教科書で取り上げたよ」(2020年11月19日)

[Alex Tabarrok, “International Trade in Modern Principles,” Marginal Revolution, November 19, 2020]

トランプ関税は,スムート・ホーリー関税法以後でいちばん大きな貿易政策の変更だ.トランプ関税の経済的な長短がどうであれ,教科書の執筆者にとっては最高の題材になってくれている.Flaaen, Hortaçsu & Tintelnot のすばらしい論文を参照しつつ最新版の『現代経済学の原理』でとりあげたのも,まさにその一例だ.その箇所の抜粋をみてもらえば,ぼくらが書いた教科書『現代経済学の原理』でとっているアプローチがよくわかるだろう.
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アレックス・タバロック「プラットフォームの経済学」(2020年11月17日)

[Alex Tabarrok, “Platform Economics in Modern Principles,” Marginal Revolution, November 17, 2020]

どうして Facebook は無料なんだろう? どうしてクレジットカードは無料どころかお金がもらえたりするんだろう? 独身者向けのバーはたまに女性限定でドリンク無料にしつつ,男性にはそうしないんだろう? こうした問いは,どれもプラットフォーム経済学の領域に属してる.プラットフォーム経済学は,うまれたばかりの分野だ.ティロールとロシェが書いた2003年の重要論文が,事実上,この分野を生み出したにひとしい―――あと,その論文は,2014年にティロールがノーベル経済学賞を受賞した理由のひとつにもなっている.新しいとはいえ,プラットフォーム経済学は,現代経済にとって必要不可欠な財を取り扱っている.そこで,プラットフォーム経済学の背後にある直観をいくらかでも『現代経済学の原理』で教えなくちゃと,ぼくとタイラーは考えた.とはいえ,学生たちが学ぶべき新しい題材はもう十分にあるので,ぼくら2人は自分たちに試練を課すことにした―――すでに学生たちが知っている原理を使って,プラットフォーム経済学の直観的な部分を解説するという試練だ.意外にも,プラットフォーム経済学はたった2つの原理で教えられる:外部性と弾力性だ.
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アレックス・タバロック「不景気なときに卒業するのはキツかったりするよ」(2020年11月8日)

[Alex Tabarrok, “Graduating in a Recession Can Be Rough,” Marginal Revolution, November 8, 2020]

不況時に卒業するのはときにキツい。不況時には初任給がより低くなるし、その後の昇給ペースも遅い。トップ企業に採用されるのは難しいから、どんどん上に登っていくキャリアパスに乗るまでいっそう長くかかる。新卒時の労働市場条件が長期的にもたらす帰結をまとめた論文で Till von Wachter が述べているように、最初の一歩でしくじると、その後に与えられる選択肢は事態をいっそう悪くさせることの多いものとなる。
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アレックス・タバロック「経済学を学ぶと賃金は大幅に増えるみたいよ」(2020年10月14日)

[Alex Tabarrok, “Studying Economics Increases Wages a Lot,” Marginal Revolution, October 14, 2020]

経済学を専攻した学生たちの賃金中央値は,40歳で9万ドルに達する(2018年).他の社会科学を専攻した学生たちは,6万5千ドルでしかない.この大差はどこから来たんだろう? 統計的な選択効果だろうか,それとも因果関係がはたらいているんだろうか? Zachary Bleemer と Aashish Mehta は,南カリフォルニア大学の学生たちを対象に,足きりで専攻がとれなかった学生たちと,かろうじて専攻がとれた学生たちを比較している.必要な成績をとれていた場合,経済学専攻を選ぶ学生は大きく増え,彼らが20代半ばに稼ぐ給与がおよそ $22,000増える.このように,専攻による給与に観察される差の大半またはすべては,どうやら因果関係によるものらしい.給与の増加をうながしている要因は,経済学を専攻した学生たちが高給の産業に専門化するよう選好を変える点にあるようだ.
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アレックス・タバロック「本日の政治的に正しくない論文:給与格差のしぶとさ」(2020年10月8日)

[Alex Tabarrok, “Politically Incorrect Paper of the Day: The Persistence of Pay Inequality,” Marginal Revolution, October 8, 2020]

職場での差別が不可能だったりありそうにない市場ですら,男女の賃金格差があるようだ.たとえば,Uber の運転手は,性別を考慮しないアルゴリズムで賃走を割り振られ,賃走の時間と距離に基づいて対価を支払われる.だが,運転手の手にするお金にはおよそ 7% と小さいながらも男女差が長らく続いている.これは,男性運転手の方がわずかに速く,混雑した地域で働くのを選び,わずかながら経験が多いことに起因しているようだ.Litman et al. (2020) によれば,これと同種の相違がメカニカルタークでの稼ぎにも見られるという.
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