アレックス・タバロック 「経済の自由化は経済成長を促す」(2013年8月6日)

経済の自由化は、経済成長を促すようだ。例外もあるようだけれど。

「経済自由化の評価:合成コントロール法による検証」(“Assessing Economic Liberalization Episodes:A Synthetic Control Approach”)――ワーキングペーパー版はこちら(pdf)――と題された論文で、アンドレ・ビルマイヤー(Andreas Billmeier)&トマソ・ナンニチーニ(Tommaso Nannicini)の二人が経済自由化政策の効果を検証している。具体的には、1963年から2005年までの間にあちこちの国で断行された「市場の拡大――とりわけ、(貿易障壁の軽減・撤廃を通じた)市場の開放――を後押しする包括的な改革」が検証の対象となっており、「処置群」たる国々(経済自由化に踏み切った国々)の1人当たりGDPの軌跡と「合成対照群」の1人当たりGDP(処置群たる国々が経済自由化に踏み切らなかったと想定した場合の1人当たりGDP)の軌跡とが比較されている。処置群たる国々と似た特徴を備えていながら経済自由化に踏み切らなかった国々の1人当たりGDPを加重平均したのが「合成対照群」の1人当たりGDPであり、経済自由化に踏み切る前の処置群の国々と中等教育の就学率/人口成長率/投資対GDP比/GDPの水準などの面で類似していた国々にそれぞれ適当に重み(ウェイト)を割り振って「合成対照群」が拵(こしら)えられている。印象深い結果がいくつも得られているようだ。例えば、

経済自由化に踏み切るまでは、インドネシアの1人当たりGDPは、合成対照群の1人当たりGDP――バングラデシュ(41%)、インド(23%)、ネパール(23%)、パプアニューギニア(13%)の1人当たりGDPを加重平均したのがインドネシアの比較対象となる合成対照群の1人当たりGDPであり、()内の数値は重み(ウェイト)の大きさ――とほとんど変わりがない。しかしながら、1970年に経済自由化に踏み切って以降のインドネシアは「離陸」を開始し、経済自由化に踏み切ってから5年後の1人当たりGDPは合成対照群(経済自由化に踏み切らなかったと想定した場合)の1人当たりGDPを40%上回り、経済自由化に踏み切ってから10年後の1人当たりGDPは合成対照群(経済自由化に踏み切らなかったと想定した場合)の1人当たりGDPを76%上回るに至っている。

いくつかの事例を取り上げておこう(他の事例については、論文を参照されたい)。以下のグラフをご覧いただきたい。経済自由化に踏み切った「処置群」(韓国、インドネシア、チリ、ボツワナ、ガンビア、メキシコ)の1人当たりGDPの軌跡が実線で、それぞれの処置群の比較対象となる「合成対照群」の1人当たりGDPの軌跡が点線で辿(たど)られている。

経済自由化は漏(も)れなく成功を収めたわけじゃないというのは確かだ。例えば、アフリカの国々で試みられた経済自由化に目を向けると、思わしくない結果に終わっているようだ。とりわけ1991年以降にそうなっているようだ。その理由は? 経済自由化が中途半端だったせい? 経済自由化とは別の面で制度の改善が伴わなかったせい? 経済自由化に踏み切るのが遅れたせいでグローバルなサプライチェーン(供給網)になかなか食い込めなかったため? 理由ははっきりしないが、その辺の詳しい議論については論文をご覧いただきたいと思う。

ビルマイヤー&ナンニチーニの二人が得ている結果は、ワチアルグ(Romain Warciarg)&ウェルチ(Karen Horn Welch)の二人が2008年の共著論文で得ている結果を補強するものだと言える。ワチアルグ&ウェルチの二人は、幅広い国々を対象にして経済の自由化が経済成長率に及ぼす効果を別の手法を使って推計している。分析の対象となっている期間は50年に及ぶが、経済自由化に踏み切って以降にGDPの平均成長率が(経済自由化に踏み切る前と比べて)何と1.5ポイント(1.5%ポイント)も高まったことが見出されている。その結果をグラフにまとめたのが以下だ。

ワチアルグ&ウェルチの二人の共著論文の内容も含めて関連する証拠の数々については、マージナル・レボリューション大学が提供している動画教材の「経済発展と貿易:実証的な証拠」を参照あれ。


〔原文:“Liberalization Increases Growth”(Marginal Revolution, August 6, 2013)〕

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