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ジェラール・ロラン「社会主義と体制移行の経済学:コルナイ・ヤーノシュの生涯と研究,1928 – 2021」(2021年10月23日)

[Gérard Roland, “Economics of socialism and transition: The life and work of János Kornai, 1928-2021,” VoxEU, October 23, 2021]

ハンガリーの偉大な経済学者コルナイ・ヤーノシュが,2021年10月に死去した.不足の分析,社会主義経済,市場経済への体制移行の経済学分析を開拓した研究者だった.本コラムでは,コルナイが20世紀屈指の重要な知識人となった概略を述べる.

  • 著者情報: ジェラール・ロラン (Gérard Roland) は,カリフォルニア大学バークレー校の経済学・政治学教授.

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    タイラー・コーエン「コルナイ・ヤーノシュと柔らかな予算制約」(2021年10月24日)

    [Tyler Cowen, “Yanos Kornai and the soft budget constraint,” Marginal Revolution, October 24, 2021]

    同書でもっとも発展されていた説は,こういうものだ――資本制経済はつねに供給超過(過剰生産)の状態にあるのに対して,中央計画経済はつねに需要超過(生産不足)の状態にある.コルナイは,この分析から導かれる事柄を細やかに述べている.大学で一般均衡の講義を受けていたときに,この本の論証を引いて議論を仕掛けたのを覚えている.当然ながら,教授は困惑していた.オリヴィエ・ブランシャールが,かつて同じような体験を語ってくれたことがある.世界を変えたいとのぞむ若い反抗的な経済学徒たちのあいだで,コルナイの本はきわめて人気が高かった.

    1980年にコルナイの大著『不足の経済学』が世に出た.計画運営の経済学に関するコルナイのそれまでの研究は,大半が理論的なものだった(現実の計画立案・運営のあり方からそうした文献の内容はものすごくかけ離れていた).一方,同書は社会主義経済が実際にどういう仕組みで動いているかを系統的かつ力強く分析した内容だった.柔らかな予算制約(社会主義経済の国有企業は損失を出していても決して倒産しない)という概念から出発して,ここからどのようにして企業による需要引き上げにつながり,それにともなって価格のバリエーションに企業がかろうじて反応するようになるのかをコルナイは説明した.そうやって需要が引き上げられると,全般的な不足にいたり,これが企業経営陣・消費者・計画担当者の行動に深く影響を及ぼす.

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    アレックス・タバロック「とある公立大学における COVID-19 リスクの価格」(2021年10月22日)

    [Alex Tabarrok, “The Price of COVID-19 Risk In A Public University,” Marginal Revolution, October 22, 2021]

    わーお.オーバーン大学(アラバマ州)の経済学部の教授3名,Duha Altindag, Samuel Cole & R. Alan Seals Jr が,自分たちの大学がとっているコロナウイルス政策を研究してる.同大学の執行部は,対人距離に関してアラバマ州知事が出した公衆衛生命令に反して,独自政策をつくった.これによって,対面授業の約半数で登録者数が法的上限をこえる結果になっている.そうしたリスクがより高い方のクラスの担当を割り振られた教授たちは,リスクを引き受けるためにより多く対価を支払われてこそいるけれど,立場が弱い人たちだ.大学の執行部はうれしくないって話を聞いた.著者たちがテニュアをもってるといいんだけど.
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    サイモン・レン=ルイス「7月にコロナウイルス関連の制限をすべて撤廃した結果として,ジョンソンが何人の人々をみすみす死なせているか」(2021年10月12日)

    [Simon Wren-Lewis, “How many people is Johnson allowing to die as a result of abolishing all COVID restrictions in July?” Mainly Macro, October 12, 2021]

    もちろん,確かなところを知るのは不可能だ.ただ,下記のグラフからいくぶんなりとうかがい知れる.


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    ノア・スミス「どうしてみんな政府の赤字を心配してるの?」(2021年10月8日)

    [Noah Smith, “Why do people worry about deficits?” Noahpinion, October 8, 2021]

    もっともな理由から馬鹿げた理由まで,一覧にまとめてみよう

    ▲ 赤い線はアメリカにおける家計債務の対 GDP 比,青い線は公的債務総額の対 GDP 比を表す.
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    二コラ・シャトレ「GDPの落ち込みが激しいのは行動制限のせい:米欧の比較」(2021年9月27日)

    Nicolas Chatelais “Covid-19 et divergence de baisses de PIB entre Europe et États-UnisBloc-note Eco, Banque de France, le 27 septembre 2021

    2020年におけるGDPの落ち込みは、アメリカではヨーロッパよりも緩やかだった。感染拡大へ対処の一環として強制あるいは自粛として行われた行動と移動の制限は、フランス、イタリア、スペインではより強力であったことがアメリカとの差のうち40%以上を説明する。この要因は産業の特化の差(アメリカがデジタル産業に優位をもち、ヨーロッパは観光業の比重が大きい)によって増幅された。財政支出の違いによって説明できるのは差の20%以下である。

    グラフ1:2020年における米欧間のGDP変化の格差の説明要因(出典:IMF、各国統計、著者による計算)

    読み方:行動制限の違いがアメリカと仏+伊+西グループの間の成長率の差の40%を説明する。この3か国のグループが観光業への依存が最も高いことは、アメリカとの差の20%と少しを説明する。

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    タイラー・コーエン「援助はエリートたちによって横取りされてる」(2021年10月12日)

    Tyler Cowen “Elite capture of foreign aidMarginal Revolution, October 12, 2021

    この証拠は海外の銀行口座から得られたものだ。以下は論文の要約。

    エリートたちは外国の援助を横取りしているのだろうか。本論文は、援助に強く依存している国への援助金の拠出によって、秘匿性と個人資産管理で知られるオフショア金融センターにおいて銀行預金の急激な上昇が発生するが、それ以外の金融センターでは発生しないことを実証した。この推定は内戦、自然災害、金融危機などの同時期に起きたショックとは混同されておらず、事前に決定された援助コミットメントによる測定でも頑健である。示唆される漏洩率はサンプル中の中央値で約7.5%で、GDPに占める援助の割合に応じて高まる傾向にある。この発見は最も援助依存率の高く国における援助の横取りとも整合的である。


    ケビン・ルイス御大の紹介による全文リンクはこちら。著者はヨルゲン・ジュエル・アンダーセン、ニールス・ヨハンセン、ボブ・リジカースで、誰でもアクセスできるバージョンはこちら

    ノア・スミス「みんなが待ち望んでいた授賞:カード、アングリスト、インベンスのおかげで経済学はより科学的になった」(2021年10月12日)

    Noah Smith ”The Econ Nobel we were all waiting for -Card, Angrist, and Imbens have made econ a more scientific field.-“, Noahpinion, October 12, 2021

    新しい考えは全てを疑いに持ち込み、
    火の元素は完全に消失し、
    太陽も大地も失われ、誰の知恵をもっても
    どこを探すべきかは教えてくれない

    ジョン・ダン

    2021年のノーベル経済学賞は、その実証経済学における業績によってデビッド・カード、ジョシュア・アングリスト、グイド・インベンスが受賞した。誰がノーベル経済学賞を受賞するかを予測するのにはとっても簡単なやり方がある。その分野においてまだ受賞してない最も影響力のある人たちを並べて、ミクロ理論家が2年連続で受賞することはないと仮定するんだ。最も影響力の強い人たち10人か20人そこらを、その研究がインパクトを与えた時点で見た場合の影響力の大きさの順に並べて、その中でもその影響力が一番昔にさかのぼる人が受賞する可能性が最も高い。(もちろんここで問題となるのは影響力が強いのはだれかを決めることだ。インパクトランキングや、経済学者に訊いてみたり、単にその分野で全体として何が起きているかの知識に基づいたりといったことの組合せでやるんだけど、思ったより難しくはない)

    何年もの間、このやり方で僕も含めて多くの人たちがデビッド・カードがノーベル賞を受賞すると予想した。アラン・クルーガーとの共著による最低賃金に関する1994年の論文は経済学業界全体を揺さぶった衝撃的なもので、新時代の訪れを告げるものだった。それ以降、カードは実証労働経済学の最前線に立ち続け、教育から移民男女間の賃金差格差やその他ありとあらゆるものの研究に自らが先鞭をつけた技術を拡張・改善してきた。この分野におけるアングリストとインベンスの影響も同じようにとてつもないものなのだけれど、それが出てきたのはもっと後になってからなので、彼らが受賞するのはもっと後の年になっていたとしても不思議じゃなかった。でもカードの受賞は明らかに遅すぎだ。

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    アレックス・タバロック「ノーベル経済学賞は信頼性革命に」(2021年10月11日)

    Alex Tabarrok ”A Nobel Prize for the Credibility RevolutionMarginal Revolution, October 11, 2021

    ノーベル経済学賞はデビッド・カード、ジョシュア・アングリスト、グイド・インベンスが受賞した。経済学における実証研究で有名誌に載っているもののほとんどすべて(そして有名誌に載らない大量の研究も)は、差分の差法、操作変数法、回帰不連続といった技術を使った自然実験の分析によるものだ。こうした技術は強力なものだが、それだけでなくその背後にある考え方は一般の人にも理解できるもので、このことが経済学者が一般に向けて話す際にとてつもない利点となっている。ひとつ例を出すとすれば、カード&クルーガー (1994) (全文はここから読める)による有名な最低賃金研究が挙げられる。この研究は、ニュージャージー州における1992年の最低賃金引上げがファーストフード店の雇用を減らさず、雇用を増やした可能性すらあるというその逆説的な発見によってよく知られている。しかし、この論文の真に偉いところは、カードとクルーガーが問題を研究するにあたって使用した手法の明快さなのだ。

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    サイモン・レンルイス「イングランド銀行は金融政策を引き締めるべきか?」(2021年9月28日)

    [Simon Wren-Lewis, “Should the MPC tighten monetary policy?” Mainly Macro, September 28, 2021]

    世間では引き締めが予想されているが,それは正しいことだろうか?
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