タイラー・コーエン 「『汚職』と『星の貸し借り』 ~プロサッカーのケース~」(2018年7月9日)

各国のプロサッカーリーグでの正念場の一戦(下部リーグに降格するかどうかがかかっている試合)のデータに分析を加えたところ、汚職が蔓延(はびこ)っている国のリーグでは「星の貸し借り」が行われている可能性が浮き彫りになった。

●Tyler Cowen, “Corruption and sensitive soccer games”(Marginal Revolution, July 9, 2018)


本稿では、プロサッカーリーグでの残留争いに着目して、下部リーグに降格するかどうかがかかっている正念場の一戦のデータに分析を加えた。2001年から2013年までの間に75カ国で行われた計1723試合が対象である。本稿で分析を加えた正念場の一戦では、一方のチーム(Aチーム)が負けると降格が決まってしまうが、もう一方のチーム(Bチーム)は試合の結果にかかわらず(たとえ負けても)残留できる。差分の差分法(difference-in-difference)を用いた分析結果によると、腐敗認識指数(Corruption Perceptions Index)で測って汚職度が高い国のリーグにおいてほど、Aチームが正念場の一戦でBチームに勝利する(あるいは引き分ける)確率が通常の一戦(降格するかどうかがかかっていない試合)で同じ相手チーム(Bチーム)に勝利する(あるいは引き分ける)確率を上回る傾向が強いことが見出された。さらには、腐敗認識指数で測って汚職度が高い国のリーグにおいてほど、翌年のリーグの後半戦でAチームがBチームに敗れる確率がBチームと同等以上の実力(Bチームよりも順位が上)のチームに敗れる確率を上回る傾向が強いことも見出された。以上の結果は、汚職が蔓延(はびこ)っている国のリーグにおいて「星の貸し借り」(互酬)が行われている [1] 訳注;正念場の一戦で勝たせてくれたお返しに、AチームがBチームに勝利(星)を献上しているという意味。証拠と見なすことができよう。

ガイ・エラード(Guy Elaad)&アレックス・クルマー(Alex Krumer)&ジェフリー・カンター(Jeffrey Kantor)の共著論文のアブストラクト(要旨)より。情報を寄せてくれた切れ者のケヴィン・ルイスに感謝。

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1 訳注;正念場の一戦で勝たせてくれたお返しに、AチームがBチームに勝利(星)を献上しているという意味。
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