――というのが,今度の『ブルームバーグ』コラムで取り上げた話題だ.このガイドに沿って使えば,ChatGPT をもっと役立ててもらえるよ.ちょっとだけお見せしよう:
たとえば ChatGPT に「マルクス主義ってなに?」と聞いても,まあまあの答えしか返ってこない.たぶん,Wikipedia か Google を使って自分で調べた方がマシだろう.かわりに,質問をもっと限定してみよう: 「19世紀後半にフランス・マルクス主義がたどった重要な展開はどんなものだった?」 すると,ChatGPT はもっとうまくやってくれる――そして,これこそ,Google や Wikipedia を使っても答えにくい種類の質問だ.
調べ物を進めながら連続して質問を重ねていった方が,ChatGPT はうまくやってくれる.ChatGPT が誰か具体的にフランス・マルクス主義者を挙げたら,その人物について訊ねてみよう.どんなことをやった人で,ドイツの似たような立場の人間とはどのへんがちがっていたのか,などなど.質問を続けてみるといい.
ChatGPT がとりわけ得意なのが「比較と対照」だ.つきつめて言えば,ChatGPT に必要なのは,キミが正しい方向を指してやることだ.きめ細やかな質問を投げてやれば,ChatGPT から返ってくる参照点はいっそうマシになる.自分が求める回答の種類におうじて質問の口調や知的水準を調整する必要がある.ディナーパーティで会話のゆくえを誘導するのと,似ていなくもない.あるいは,別の喩えを使うなら,ChatGPT を駆使するのは犬の訓練のようなものだと考えてみるといい.
ChatGPT の使い方に磨きをかけていろんな用途で力を発揮させるには,第三者の口を借りて返答するように問いかけてみるといい.たとえば,たんに「インフレにはどんなコストがある?」と聞いても,とくに大間違いではない答えが得られるかもしれないけれど,とくに冴えた回答でもない.かわりに,こう聞いてみよう:「インフレにはどんなコストがある? ミルトン・フリードマンのアイディアを使って答えて.」
フリードマンに言及することで,あまたあるアイディアがひしめく空間のなかでも,より知的な一角を ChatGPT に指させてあげたことになる.フリードマンはおのぞみのガイドではないなら,誰か他の経済学者を選べばいい(このわたくしめのこともお忘れなきよう).さらに,2人の経済学者の見解を比較して対照させるように ChatGPT に訊ねるとさらにいい.
リンク先のコラムには,他にももっと利用法のヒントを書いてある.すでに知ってたヒントはあるかな?
[Tyler Cowen, “How should you talk to ChatGPT? A User’s Guide,” Marginal Revolution, February 9, 2023]