タイラー・コーエン 「投票率を上げるにはどうすればいい?」(2008年10月24日)

●Tyler Cowen, “How to get people to vote”(Marginal Revolution, October 24, 2008)


ダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman):・・・(略)・・・ ほんのちょっとした働きかけでしかないのに、選挙結果を変え得るような効果を備えているものもあります。

選挙の投票日前に、誰か知らない相手に電話をかけてこう尋ねるのです。「今度の投票は行きますか?」。それだけです。「投票に行く予定ですか?」。そう尋ねるだけで、その相手が投票に行く可能性は大いに高まります。ほんの些細な働きかけ(操作)に過ぎませんが、見知らぬ人に「投票に行く予定ですか?」と尋ねられて「はい」と答えるだけで、その人(「はい」と答えた人)が投票に行く可能性は大いに高まるのです。

ネイサン・ミアボルド(Nathan Myhrvold):今お話いただいたように誰かしらに電話で「投票に行く予定ですか?」と尋ねるというのは、投票に行くようにプライム(先行刺激)を与える手法の一つと言えるわけですが、それとは別に、相手に投票に行くように熱心に真正面から勧めるという手もありますよね。どちらの方がうまくいくでしょうか?

カーネマン:プライムを与える方がずっとうまくいく可能性がありますね。というのも、熱心に真正面から勧められると、相手はそれに抵抗しようとしかねないからです。その一方で、プライムを与えられると、ちょっと引っかかりを感じる [1] 訳注;「投票に行く予定ですか?」と尋ねられて「ええ、行くつもりです」と答えたことが何だか引っかかる、という意味。 と同時に、何だか(投票に行く)コミットメント(約束)をしてしまったかのようにも感じます。コミットメント(約束)の内容が明確であるほど、行動にも影響が及ぶ可能性がありますね。

リチャード・セイラー(Richard Thaler):どの時間帯に投票所に行く予定なのか? 投票所にはどうやって(どういう交通手段を使って)向かうつもりなのか? そういったことも尋ねると、相手が投票に行く可能性は高まることになりますね。

カーネマン:「投票所はどこですか? 」と尋ねるという手もありますね。

討論の全容はこちら。身の回りの環境やプライミング効果が人間の心理に対して持つ重要性がテーマになっている。はじめから終わりまで大変興味深い内容だ。情報を寄せてくれた Stephen Morrow に感謝。

ところで、誰かしらを投票に行かせないようにするためには、どうしたらいいのだろう?

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1 訳注;「投票に行く予定ですか?」と尋ねられて「ええ、行くつもりです」と答えたことが何だか引っかかる、という意味。
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